「楽しみながらやれた」プロ13人輩出の桐蔭横浜大インカレV世代・中野就斗&山田新がJ1舞台で真っ向マッチアップ
[6.29 J1第21節 川崎F 1-1 広島 U等々力] 桐蔭横浜大をインカレ初制覇に導いた黄金世代の2人が、J1リーグの舞台で熱いマッチアップを繰り広げた。1-1のドロー試合を終えた後、サンフレッチェ広島DF中野就斗と川崎フロンターレFW山田新はそれぞれ勝利できなかった悔しさをのぞかせつつも、トップカテゴリでの再会に「楽しみながらやれた」と口を揃えた。 【写真】「マジで美人」「可愛すぎてカード出る」現地観戦した女子アナに称賛集まる 中野と山田は2022年度、全日本大学サッカー選手権(インカレ)初優勝を成し遂げた桐蔭横浜大の同期。昨季後半戦の対戦ではともに先発していたが、中野が右ウイングバック、山田が3トップの中央と異なるエリアで出場しており、今季前半戦の対戦は山田が途中出場だったため、試合開始からセンターバックとセンターFWでマッチアップするのは初めてだった。 広島がマンツーマン主体の守備戦術を採用していることもあり、マッチアップの構図は明確。中野は「同期で負けられない部分もあるし、あそこを抑えられればフロンターレの攻撃を抑えられる」という心構えでぶつかり、一方の山田も競り合いを重ねるにつれて身体の当て方を工夫しながら主導権を握りにいった。 勝手知ったる者同士の対戦は互いに難しさもあったようだ。 「アイツはああ見えて意外と考えてやってくるタイプなので、相手の動きを見て駆け引きしてくる。やりづらさはあったし、大学の時は同じチームで良かったなと思いますね」。そう振り返ったのは中野。対する山田も徐々に収められるシーンが増えたように思われたが、「やりやすい部分もあったし、やりづらい部分もあって難しい対戦ではありましたね」と率直に話した。 マッチアップは山田が途中交代した後半17分に終了。最後は早くピッチを出るように促す中野に対し、山田が冗談混じりに食ってかかったため、今村義朗主審が仲裁に入る場面も見られたが、それも仲の良さがうかがえるワンシーンだった。 「交代する時に早く出ろよって押したら、アイツがキレた演技をして審判も慌てていて……(笑)。たぶん僕らの関係を知らないので『山田くんそんなに怒んない!』って言われてましたね(笑)」(中野) 「『友達だから』って言ったんですけど、カード出されそうだったので焦りました(笑)」(山田) J1の舞台で実現した同期同士のマッチアップ。桐蔭横浜大の同世代からはGK北村海チディ(藤枝)、FW寺沼星文(水戸)ら史上最多13人がプロに進んだが、この一戦は黄金世代のレベルの高さをあらためて示し、同期たちにも大きな刺激を与える一戦となった。 「自分たちの学年はたくさんプロになったし、その中で自分とシンがJ1でやっていて、元チームメートも今日の試合を見ていると思う。これからもみんなに刺激を与えられる存在でいたいなと思います」(中野) また中野は将来、2人が別の場所で同じチームとして活躍する未来図も思い描いていた。 「当時のチームメートがJ1の舞台でマッチアップして戦えているというのは嬉しいし、これからもっともっと切磋琢磨して、次は代表で同じチームになるという高みに向けて、お互い刺激し合ってやっていけたらいいですね」 山田にこの言葉を伝えると「お互いそこを目指していると思う」と断言。「インカレを一緒に優勝しているし、今は対戦相手同士だけど、また一緒にやれたらいいですね」とさらなる飛躍を誓っていた。 そのためにはまず、互いの所属クラブでより圧倒的な存在となり、リーグを代表する選手に上り詰めていく構えだ。 今季右ウイングバックでシーズンが始まり、現在はリベロで存在感を発揮し続けている中野は「やっぱりサッカーをやっている以上、代表は目指さなくちゃいけないと思う」とA代表を明確に意識し、「でももっともっと全てにおいてクオリティーを上げていかないと代表に選ばれても試合に出られないと思う」と高い基準を提示。「Jリーグは素晴らしいリーグで毎試合成長できる場がある。しっかり1試合1試合成長していければと思う」と力を込めた。 また山田も徐々にプレータイムを伸ばしており、この日は2試合連続の先発出場。持ち味の競り合いは「そういうところの感覚は日に日に良くなっているし、相手にとって嫌なことはできている」と手応えを感じているところだという。 やや先を行く中野の存在も意識しつつ、「彼はずっと試合に出ていて、僕は途中からだったので、今日スタートから出られて対戦できたのは嬉しかった」と山田。「でも満足できる内容ではなかった。次に対戦する時は自分自身の成長の指針になると思うので楽しみ」。まだまだ成長を遂げていくつもりだ。