危険な暑さしのぐ、シェルター 大和村いち早く指定 奄美市、与論町も準備中
熱中症など健康に重大な被害を及ぼす暑さが予測される場合に発表される警戒情報「熱中症特別警戒アラート」の運用が、今年4月24日から始まった。鹿児島県・奄美群島の各市町村は冷房が効いた施設を「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」としてあらかじめ指定し、特別警戒アラートが出た際に一般開放することが求められている。奄美群島の自治体では大和村がいち早くシェルターの指定を行ったほか、奄美市、与論町も指定の準備を進めている。 熱中症特別警戒アラートは、過去に例のない危険な暑さで健康への被害が懸念される場合、環境省などが都道府県単位で発表。具体的には、気温や湿度、直射日光などに基づく「暑さ指数」が都道府県内のすべての観測地域で35以上になると予想された場合に、前日に発表して冷房の使用や外出自粛などを呼び掛ける。従来の「熱中症警戒アラート」から一段上の位置づけとなっている。 クーリングシェルターの指定は、熱中症特別警戒アラートの運用開始に伴うもの。対象となるのは冷房を備えた公共や民間の施設などで、指定を受けた施設は同アラートが発表された際の開放が求められる。 大和村は5月8日に村防災センターをシェルターとして指定。奄美市は7月1日の指定・対象施設の公表に向け、準備を進めている。市内の公共11施設を指定する方向で調整中。与論町も町役場など町内2施設の指定に向けて準備を進めている。 奄美市世界自然遺産課の担当者は「指定は、特別警戒アラートが出ていない時でも、開館時間であれば気軽に涼みに来られるよう促す効果もあると思う。指定後は、市民はもちろん、奄美の気候に不慣れな観光客の方も安心して利用できるように周知していきたい」と話した。 3市町村以外の9町村は、現時点で指定や指定に向けた準備などは行っておらず、検討中とする自治体や、「しばらく様子を見る」とする自治体もあった。 熱中症は暑熱で発生する障害の総称。顔面そう白や血圧低下などの症状の「熱失神」と、めまい、頭痛などの「熱疲労」のほか、「熱けいれん」、「熱射病」があり、場合によっては命にかかわる。 県消防保安課によると、奄美群島内での熱中症の疑いによる救急搬送状況(いずれも6月~9月)は2021年度が77人、22年度が123人、23年度が90人だった。24年度は13日現在ゼロとなっている。
奄美の南海日日新聞