35歳のママ岩崎こよみ、古賀紗理那ら攻撃陣リード…監督「お子さんが小さいので呼べない状況だった」
6大会連続の五輪切符獲得を35歳のベテランセッターが支えた。16日に閉幕したバレーボール・ネーションズリーグ福岡大会で、日本の岩崎こよみ(上尾)は精度の高いトスを上げて攻撃をリード。出産を経て復帰した代表最年長選手に、真鍋政義監督も「選手が安心してスパイクを打っている」と厚い信頼を寄せる。
福岡大会では全4試合に先発出場。相手ブロックの動きを読みながら速攻などを組み立て、古賀紗理那(NEC)や石川真佑(ノバラ)らに配球した。「競った展開で、味方の一番いいアタックを引き出す」ことをテーマに、冷静に司令塔役を担った。
勝てば五輪決定の重圧で、2―0から逆転負けを喫した13日のカナダ戦後には、主将の古賀と修正点を徹底して議論した。セッターとアタッカーでタイミングのずれがあるという認識を共有。岩崎がトスを上げる位置を微調整するなどし、次戦のセルビア戦は快勝した。
2021年に長男を産み、昨年4年ぶりに代表復帰。日本人セッターでは目立つ1メートル75の長身はブロックでも重宝され、サーブの技術も高い。12年ロンドン五輪で日本を銅メダルに導き、東京五輪後に再登板した真鍋監督は「2年前からずっと候補だったが、お子さんが小さいのでなかなか呼べない状況だった」と早くから期待していた。
チーム合流は、昨年9月のパリ五輪予選東京大会で敗れたあと。五輪出場は夢だったが、選考レースに途中から加わることに当初は気後れもあった。「子供が病気をしたら練習を休まなければいけない時もある。そんな自分が、100%をバレーボールに懸けているみんなと一緒にやってもいいのかな」。今は、自身の経験を後輩に伝え、チームに少しでも貢献できたらという思いでコートに立つ。
五輪出場権獲得は試合のない14日に決まり、真鍋監督から吉報を伝えられると、涙して喜んだ岩崎。「重圧もあったし、すごくほっとして(泣いてしまった)」。母親として、選手として、懸命に尽くしてきた努力が報われた瞬間だった。
(佐野司)