「乳首」を「焼いたペンチ」で挟み、そこに「溶かした鉛」を注ぎ込む…強力な懲罰本能を持つ人間の”残虐行為の歴史”
死刑囚の無残な最期
米国では1791年の憲法修正第8条で「残酷で異常な」刑罰をはっきりと禁止しているが、フランス人死刑執行人のニコラス = シャルル・ガブリエル・サンソンにとっては、ダミアンの処刑は残酷でも異常でもなかったようだ。「最後には彼を八つ裂きにした」と『ガゼット・ダムステルダム』紙が書いている。「この最後のとどめには時間がかかった。処刑に使われた馬が、人間を引き裂くことに慣れていなかったからだ。そのため、4頭ではなく、6頭を使用しなければならなかった。さらにそのうえ、不幸な男の太ももを引きちぎるために、彼の腱を切断し、関節をつぶさなければならなかった」。 現代人のほとんどは、犯罪者の公開処刑をグロテスクな野蛮行為とみなし、自分たちの文明が優れていることを確かめるためのホラー物語の題材としてのみ有益だと考える。しかし、暴力あるいは公の場で行われる残虐行為に対する嫌悪感は、太古の昔に始まった選択プロセスが最近になってもたらした成果なのである。 『「性器を噛みちぎる」チンパンジーと「無害な」人間…「人間家畜化理論」が説明する、ヤバすぎるその理由』へ続く
ハンノ・ザウアー、長谷川 圭
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