光量子コンピューターが完成 あらゆる計算可能な汎用型は世界初 理研など
理化学研究所やNTTなどは8日、光を用いた新方式の量子コンピューターの実機が完成したと発表した。原理的にあらゆる計算が可能な汎用型では世界初としている。光の特性により、従来型よりも大規模な計算ができるとされ、埼玉県和光市に設置。年内を目途に、インターネットを介して研究者らが利用できる体制を構築する。 理研で量子コンピュータ研究センター副センター長を務める古沢明氏らのグループが開発した。理研は国産初号機となる量子コンピューターを昨年3月に稼働させたが、極低温の回路を使う「超電導方式」だった。 今回完成した実機は、さまざまな情報を詰め込んだ光パルスを多数生成。それらに「量子もつれ」と呼ばれる特殊な相関関係を持たせて巨大なネットワーク構造をつくり、高速かつ大規模な計算をする。光を用いるため、極低温な環境も必要ない。 人工知能(AI)の核となる技術である、人間の脳の神経細胞を模した人工ニューラルネットワークの研究に適し、省電力化も期待できるという。 さらに今回は、量子技術に詳しくない人でも量子コンピューターを使えるようにクラウドサービスを整えた。古沢氏は「本当に世の中で使ってもらえる量子コンピューターを作りたい」などと話し、性能向上への意欲を示した。