日本国憲法の歴史を変えた2つの出来事 スクープ記事と22歳白人女性
米国憲法にさえ規定がない「男女平等」
ベアテが提出した条文案はかなり削られましたが、根幹の部分はこうして残されました。「男女の平等」の条項は画期的で、アメリカ合衆国の憲法にもなかったのです。ベアテは日米交渉の通訳者、憲法の翻訳者としても活躍しています。 2月13日、外務大臣公邸で、この条項を含むGHQの憲法草案が日本側に提示されました。これを記念し、港区虎ノ門の公邸跡地(アーク八木ヒルズ)には、「日本国憲法草案審議の地」の石碑が建てられています。 なお、ベアテの最終国籍はアメリカですが、両親はウクライナの出身です。ベアテの父は有名なピアニストでした。ロシア革命をきっかけにウィーンに移住し、山田耕筰の招きによって演奏旅行で訪れた日本のことを気に入り、家族で住むことを決めたのでした。 このように日本国憲法は、ロシアの軍事介入でいま危機的状況にあるウクライナとも、見えない糸でつながっているのです。 (教材編集者・大迫秀樹)