読売テレビ「ten.」“16年目の約束” 中谷しのぶアナ「全力で」黒木千晶「真摯に」
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」(月~金曜=第1部・後4時45分、第2部・後6時15分)が2009年3月の番組開始から16年目に入った。在阪民放局の夕方帯では最も長く続くニュース番組。中谷しのぶ(35)、黒木千晶(30)両アナウンサーが交代制のメインキャスターとしてけん引する。番組に携わって12年目の中谷アナは「実家のような存在」。入社1年目で加入した黒木アナは「無我夢中に、少しずつステップアップさせてもらえている」と、ともに看板枠を大切にしている。(筒井 政也) 朝の「す・またん!」と並ぶ2大看板番組の一つ。中谷は3年目の13年から出演し、17年からメインキャスターとなった。黒木は1年目(17年2月)にサブキャスターに大抜てきされ、後進にも道を開いた。現在は火・水・金曜に中谷、月・木曜に黒木が“夕方の顔”を任されている。 中谷「ずっと成長を見守ってくれている。ファミリー感を大事にしている番組ですね」 黒木「報道番組を担当したくて入社。まさか1年目から…。すごく驚きました。番組をどう円滑に回すかは、全部、中谷さんから学びました」 現体制(23年1月~)までは協力し合って生放送の対応に奔走。厚い信頼で結ばれている。 中谷「(黒木は)入社当時から頼もしく『自我』を持っている。以前のポスターの『笑顔力』というフレーズ通り、常にキラキラと前向きで」 黒木「恥ずかしい(笑い)。中谷さんはキリっとされてクールビューティーのイメージがあると思うんですけど、実はかわいくて甘えん坊な部分も。疲れた時は『甘いもん、食べへん?』とお菓子をくれたりします」 中谷「私、アルフォート(ブルボンのチョコレート菓子)が大好きで体調が悪い時も、それだけは食べられる(笑い)。差し入れもしてくれて、優秀な部下。アルフォート、10個ぐらい買ってあげないと(笑い)」 中谷は番組で黒木に窮地を救われた経験がある。7年前のことだ。 中谷「私、番組中に“消えた”んです。体調が悪くなり、第2部の冒頭で『関西からお伝えします』って言った後、急性胃腸炎で病院に運ばれて。その時の代打が黒木。スタジオ回しもしたことがなかったのに、完璧で」 黒木「私しかいなかったので…。それ以降、サブの後輩には『そういうことも起こり得る』と伝えています」 ともに「ten.」で経験値を積み、新たな発見も得た。中谷は高岡達之・報道局特別解説委員(59)との数々の海外取材で視野を広げた。 中谷「『お父さん』って呼べるほど、いっぱい話をさせてもらいました。結婚観も『共に人生を戦う相棒。その視点で選びなさい』と。恩人です」 黒木はコロナ禍では報道記者も兼務。収束に向かう頃の高校の卒業式取材が忘れられない。 黒木「高校生がふと、『私たちの3年間はかわいそうではなかった』と話したのが印象的で。メディアが出す情報ってごく一部。360度の球体があれば、どの方向から見るかで全く違うとハッとさせられました」 中谷は23年、黒木は22年、ともに同局社員と結婚した。家庭を持ったことによる変化は「特には…」と声をそろえるが、年齢を重ね、社会への視点も、より実感が伴ってきた。 黒木「物価高は一市民として気になりますし、子育てをする友達も増えてきて、そこで気付かされることも」 中谷「私の祖父母は90代。介護問題や年金制度改革の議論など、高齢者の目線と、若い世代の目線と、両方で考えられるようになってきました」 同局では現在、制作するドラマ「約束~16年目の真実」(木曜・後11時59分)を放送中。副題は「ten.」と重なる。 中谷「すごい偶然! いざという時に頼りにしてもらえるよう、できる限り関西の皆さんに愛されるよう、全力でお伝えしていくことを約束します!」 黒木「原稿1行を書く、10秒の映像を撮影するのってすごく時間がかかります。総力を挙げて取材した結晶が『ten.』。真摯(しんし)に全員でお伝えし続けることを、約束いたします!」 ◆中谷 しのぶ(なかたに・しのぶ)兵庫県西宮市出身。35歳。6~9歳はハワイ在住。同志社大文学部卒業後、11年4月に読売テレビ入社。12~14年に初代ytvPR隊長を担当。愛称「しのぶちゃん」「こけし」。 ◆黒木 千晶(くろき・ちあき)横浜市出身。30歳。青山学院大文学部卒業後、16年4月に読売テレビ入社。16~17年に4代目ytvPR隊長を務めた。愛称「クロキチ」「ちゃき」。 中谷は、21年から全国ネットの情報番組「ウェークアップ」(土曜・前8時)のキャスターを務め、野村修也氏(62)の卒業で今年4月から単独メインになった。「野村さんは知識量が豊富で、分析力も持っておられる方。私一人でカバーするのは難しいですが、考え方を押し付けるのではなく、みんなが輪になってニュースを捉えられる番組を」と、心機一転で取り組んでいる。 黒木は19年4月から討論番組「そこまで言って委員会NP」(日曜・後1時30分)に出演。辛坊治郎氏(68)の卒業に伴って21年3月から議長(総合MC)に昇格し、くせ者ぞろいの論客を的確にさばいている。「何かしら本を読んでいないと(議題に)追いつかないのですが、一生懸命勉強すると、パネリストの皆さんに聞きたいことがたくさん出てきます」と、視聴者の代表として率直な疑問をぶつけている。一方で「『委員会』より生放送の方が緊張する」とも。中谷は驚きの表情で「(委員会は)強烈な人たちばかりなのに…すごい。辛坊さんの後を担うプレッシャーは半端じゃない」と感心した。
報知新聞社