第93回選抜高校野球 三島南、歓喜の初切符 少年野球教室など評価(その2止) /静岡
新型コロナウイルスの影響で2020年秋の明治神宮大会が中止となり、21世紀枠が1校増の4枠となった今大会。三島南が評価されたポイントは、保育園児や小学生を対象に定期的に野球体験会や野球教室を開催するなどして、地域の野球振興活動に力を入れている点だ。 稲木恵介監督(41)が就任2年目を迎えた14年末から地元の幼稚園に出向いたり、園児をグラウンドに招いたりして、体験会や教室を開催する。評判は口コミで広がり、参加した子どもたちから「将来は三島南で野球をやりたい」という声が上がるほど。まさに、地元に根付いた活動だ。伊藤侍玄(じげん)主将(2年)は「稲木監督が赴任してから『伝統』になった。言葉よりも動きを見せて伝えることを意識している」と説明する。 練習に先進的な取り組みを導入し、創意工夫を凝らしている点も選考委員会で注目された。ICT(情報通信技術)を活用し、リアルタイムの映像で動作を確認。スイングスピードの目標を数値化することなどによって技術を向上させた。また、部員を3班に分け、日ごとに練習の内容をローテーションで回すことで効率化を図り、学習との両立を目指している。 20年秋の県大会はベスト4に進出した。チームの中心は前田銀治選手(2年)だ。秋の通算打率は3割6分4厘を記録。ピンチの場面でマウンドに上がるなど、投打に活躍する。前田選手に勝るとも劣らない投手陣の柱が植松麟之介投手(1年)。制球力が持ち味で、秋の公式戦9試合のうち8試合に先発、防御率2・53と安定感がある。県大会準々決勝は強豪校の一つ、静岡の打線を6安打1失点に抑えて完投した。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆学校紹介 ◇100年超す伝統 校訓は「自覚」 県立三島南高校は三島市大場にある全日制の普通科校(生徒数=684人)。3年間で規定以上の単位数を取得すれば、卒業が認定される「単位制」を運用する。 1919年に三島町立三島商業学校として設立され、49年から現校名。創立100年を超える伝統校で、校訓に据える「自覚」のもと、生徒会活動や部活動を通じて人間力を高めることを教育目標に掲げる。ICTを授業に活用するほか、地域交流に力を入れ、「三南(さんなん)」の愛称で親しまれている。 野球部の歴史も古い。1921年に生まれ、2020年に創部100周年を迎えた。現在の部員は31人。全国に先駆け、地域の野球振興活動に取り組んでいる。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆21世紀枠県推薦校◆ 年 (回数) 推薦校 2001年(73回)常葉大橘※ 02年(74回)静清工 03年(75回)静岡商 04年(76回)常葉大橘 05年(77回)静清工※ 06年(78回)静岡学園 07年(79回)常葉大橘 08年(80回)常葉大橘 09年(81回)沼津東 10年(82回)推薦校なし 11年(83回)磐田東 12年(84回)伊東商 13年(85回)大井川 14年(86回)富士 15年(87回)三島北 16年(88回)浜松西 17年(89回)韮山 18年(90回)静岡市立 19年(91回)清水桜が丘※ 20年(92回)浜松西 21年(93回)三島南◎ ※は東海地区候補校 ◎は21世紀枠代表 ……………………………………………………………………………………………………… <東部地区大会> 1回戦 8月13日 ○ 5― 1吉原 2回戦 16日 ○11- 9裾野 A代表決定戦 22日 ○ 2― 0富士宮西 準決勝 30日 ● 3―10御殿場西 3位決定戦 9月 5日 ○ 9― 5星陵 <県大会> 2回戦 9月20日 ○ 4― 2浜名 準々決勝 22日 ○ 3― 1静岡 準決勝 26日 ● 1― 9常葉大菊川 3位決定戦 27日 ● 2― 5加藤学園 =9戦6勝3敗