“ホークス出身の新星”再び誕生となるか…中日移籍の左腕、三浦瑞樹に期待大!「しっかりと見返していきたい」という負けん気も魅力
ソフトバンクから戦力外通告を受けていた三浦瑞樹が、育成契約で中日へ移籍することになった。2021年の育成ドラフト4位指名で東北福祉大から入団。育成3年目だった今季は、防御率1.60で、ウエスタン・リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得、7月に支配下に昇格した後も、1軍で5試合にリリーフ登板、計5イニングを無失点に抑えていた。【喜瀬雅則/スポーツライター】 【写真を見る】中日・井上新監督からさっそく激励を受ける三浦選手 ***
井上新監督からもさっそく“激励”を受けた
MAX147キロのサウスポーは、身長174センチ。投手としては決してサイズに恵まれたタイプとはいえないが、スリークオーター気味に振り下ろしてくる左腕が、体に巻き付いて出てくるとあって、打者はタイミングが取りづらそうな感がある。 最も得意だというチェンジアップにスライダー、シュート、さらに「今、練習をしている球種もあります。キャンプでお見せしたいと思っています」という秘密兵器も開発中。中日は、チーム防御率が2.99でリーグ4位。左のエース格だった小笠原慎之介もポスティングでメジャー移籍を果たす可能性があり、ドラフト1位入団の関大・金丸夢斗、同2位の西濃運輸・吉田聖弥と同じく、貴重な左腕の新戦力として三浦への期待は大きい。キャンプからオープン戦にかけて順調に結果を残せば、開幕前の支配下登録も十分にあり得る状況にある。 今月3日に名古屋市内の球団事務所で入団会見が行われたが、その際に所用で球団事務所を訪れていた井上一樹新監督に“出迎え”を受けるというサプライズもあった。「支配下の枠はある。しっかりとキャンプからアピールしてほしい」と指揮官から激励も受け「絶対にやれるという自信がある。来年はしっかりと暴れていきたいなと思っています」。 この“上がり目の左腕”に、ソフトバンクが戦力外を通告。来季の“再・育成契約”をオファーした際には、ちょっとした物議を醸したものだった。
ホークス1軍の左腕枠は飽和状態に近い
「3年間、ホークスでやらせてもらって、3年目で支配下になれて、結果も残している中で、そういう『もう一度育成で』と言われたときには、自分の中で『なんでなのかな』というのがすごく頭にあった。せっかくはい上がってきて、そういう風になるんだったら、自分の中では他球団に行った方が勝負できるな、というのがありました」 中日からのオファーも「育成」だった。それでも、3年連続最下位で、エース格の左腕がいなくなる中日と、巨大戦力のソフトバンクでのチャンスを天秤に掛ければ、答えは自ずと出てくるとしたもので「環境を変えるのもいいな、というのがありました」。 ただ、ソフトバンクでは、1軍の左腕枠争奪戦から“漏れた”という現実もある。同時期に育成から支配下に昇格した前田純、2年目の松本晴、ルーキーの前田悠伍ら、同タイプの若手左腕がしのぎを削っている。 さらに、先発ローテーションを見ても、最優秀防御率のタイトルを獲得したリバン・モイネロ、三浦と同じく育成出身の大関友久ら、実績十分の先輩たちも健在で、来季も当然ながら、その座を譲らないだろう。ベテラン・和田毅が現役引退したといっても、1軍の左腕枠は飽和状態に近い。 三浦の“再育成オファー“には、そうした左腕勢の中から、故障者やアクシデントがあった場合の、補充1番手という意味合いがあった。今季も、野手陣のケースにはなるが、柳田悠岐が右太ももを痛めて戦線離脱した際、今季から育成契約だった2019年ドラフト1位外野手・佐藤直樹を即座に支配下登録。戦力の大幅ダウンを食い止めている。