松田聖子、「花の82年組」中森明菜、小泉今日子…レジェンド大量出現! アイドル黄金時代到来
薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子…「角川三人娘」
’80年代前半にあった人気女性アイドルもうひとつの流れが、角川映画の世界だ。 映画『野生の証明』で女優としてデビュー後、主演映画『セーラー服と機関銃』の同名タイトル主題歌で歌手デビューを果たした薬師丸ひろ子から始まり、その後、原田知世、渡辺典子へと角川映画の主演をつとめ人気を獲得するという系譜は続き、3人は「角川三人娘」とも呼ばれた。角川映画の映画、主題歌、小説というメディアミックス展開によって人気を獲得していくという流れは、かつてエンタメの主役だった映画でのスター育成システムを時代に合わせ進化させた形とも見える。 ’80年代も半ばに差し掛かると、’80年組、’82年組のアイドルとしての人気もさすがにピークを超えた感が出てくる。男性アイドルの世界では、チェッカーズが登場、吉川晃司もアイドル的人気を獲得するなどアーティスト的香りを持つ存在が人気となる。 聖子ちゃんカットでデビューし、デビュー曲『私の16才』、2曲目『素敵なラブリーボーイ』がいずれも’70年代アイドルのカバーと、これまでのアイドル像を踏襲させられてきた小泉今日子は聖子ちゃんカットを捨て、個性を前面に出すことで群雄割拠の’82年組の中から明菜と並ぶ抜きん出た存在になり、これまでとはまったく違うサブカル感もまとうアイドルへと進化、’85年リリースの『なんてったってアイドル』では秋元康の手によるメタな視点でアイドルという虚構の偶像そのものを切り取った楽曲を叩きつけることになる。 ’85年、松田聖子が結婚する。’80年代初頭を大きく引っ張ったアイドル・オブ・アイドルの結婚。しかし、山口百恵と違い聖子は長女の出産後に復帰、アイドル性を崩すことなく活動し、ママでもアイドル、「ママドル」という言葉も生み出し、新たなるアイドル像を切り開き現在に至る。 アーティスト性を持つアイドルへの移行、聖子の結婚……混沌とし始めたアイドル黄金時代を根底から揺るがすことになるグループが、誕生することになる。 文:太田サトル ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。
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