ご当地アイドル、なんと1000組 LCCなどでブーム再燃 仕掛け人の仕事とは?
一時期のブームが落ち着いた感のあるご当地アイドル(ローカルアイドル、ロコドル)だが、実はいまなお盛り上がり続け、ブーム再燃の気配もあるとか。地域活性と地産地消に貢献しつつ芸能界で通用するアイドルを育てようと、文字通り日本全国を飛び回る人物がいる。各地のアイドル運営にトレーナーとしても知られる、日本ご当地アイドル活性協会の代表・金子正男氏だ。 「金言セブン」なる7カ条を毎月作成、成果を上げているそうだ。素人の女の子を多くのファンに愛されるアイドルに育てるノウハウとは? 話を聞いた。
なぜご当地アイドルを育成?
金子氏は1975年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部卒業。地上波放送局で2時間ドラマ立ち上げスタッフとして参加以後、ドラマ企画、プロットライターとしてバラエティー番組に携わる。30歳で角川映画に転職、約20本の映画・テレビ番組のプロデュースを担当。その後、インディーズ映画・音楽会社へ。制作プロデューサーを中心に営業、宣伝、プロモート、国内・海外番販、出資集め、製作委員会などを部長クラスで担当し40歳で独立した。 日本ご当地アイドル活性協会を立ち上げたのは、2012年。なぜ、アイドルなのか。 「2011年の東日本大震災が強く影響しています。何かできることがないか……翌年3月11日、被災したアイドルさんと、全国から賛同してくれたアイドルさんとでチャリティーライブを開いたんです。このとき声をかけたアイドルさんやメディアさんのリストが現在の日本ご当地アイドル活性協会につながります」
地方には、大手事務所に所属しないアイドルや運営が多い。ほとんどノウハウのないところを一から育てるのは大仕事だと思われるが、自らの野球経験が役立っているそうだ。 「小・中・高・大と野球を通じ『平等に進化なし、競争に心身の進化あり』と習いました。レギュラーの華々しさも補欠の悔しさ、故障の苦しさも味わいました。競争から得るものは多い。東京なら誰でも知っている基礎知識、運営テクニックを教えることで、近所同士、良きライバル関係でご当地アイドルさんが切磋琢磨してくれればと思っています」 アイドルトレーナーという肩書きにも、こだわりがある。 「アイドル界にはいろいろなプロデューサーさんがいます。ミュージシャン出身であればプレイヤー的な観点からアイドルを育成するでしょうし、演出家出身、クリエイター出身……出自によって違う。でも、総合的に指導する人はあまりいないんですよ。私は、野球経験がなくても勝てるチームを作り甲子園に行かせている先生をたくさん見てきました。そういう新しい立ち位置につければ」 ノウハウを提供するといっても、「知りたければこっちへこい」ではなく、自らそのご当地を知るために足を運ぶ。徹底した現場主義が根底にある。 「現地に行くとグループ成り立ちのバックボーン、運営の素顔、地元の人たち、歴史、水……生活基盤がくっきり見えてきます。そこから何をウリにすべきか、武器が見えてくる」 これまでもさまざまなケースを見て、問題点を抽出・改善してきた。 「どこの運営さんも悩むのが、東京と比べてすべて揃っていないところ。振付の先生はいるけどPVを撮る人がいない。PV撮る人はいても衣装を作る人がいない。衣装を作る人はいても曲を作ってくれる人がいない。全部が十分に揃っている運営さんは稀です。そこで協会がお店、業者、他のアイドル運営さんなどを紹介することもあります」