【虎になれ】苦しい阪神、完全な1勝2敗ペース 再び“開幕”を迎えるためには―
<日本生命セ・パ交流戦:オリックス4-0阪神>◇11日◇京セラドーム大阪 阪神、オリックスの両軍先発投手が試合中に見せた意思は対照的だったようだ。勝利投手になった曽谷龍平は6回100球を投げ、無失点に抑えた後に「出し切りました」と言ったそう。オリックス監督・中嶋聡はそれに「は?」と思ったそうだが交代させた…とインタビューで話した。 一方、完投負けとなった阪神・村上頌樹は違う。指揮官・岡田彰布が伝えた交代の打診に「最後までいかせてください」と答えたという。岡田が明かした。どちらがどうとは言えないけれど、こんな話を聞けば、余計、気の毒になってしまう。また村上に援護がない試合になってしまった。 打線が村上を助けられない。見慣れた光景だ。この日も単打7本を打つには打ったが無得点に終わった。昨季、日本シリーズの激闘を繰り広げた相手との“再戦”第1ラウンドは虎党にとって見どころのない展開となったのである。 「何にもないわ。終わりや、終わり」-。虎番記者の囲みをそう言って終えた岡田も、なんともヤケクソ気味である。苦しむ阪神はこれで交流戦12試合を終えて4勝8敗。完全な1勝2敗ペースになった。 交流戦を前に考えていたのはどういう形でリーグ戦に戻れればいいだろう、ということだ。パ・リーグとの戦いに入る直前、阪神は25勝19敗4分けの「貯金6」。これを増やすことができれば言うまでもない。だがすでに打線が苦しんでいたこともあり、楽観はまったくできなかった。 リーグ戦前半の最終戦、5月26日の巨人戦(甲子園)に逆転負けした後、岡田も「パ・リーグは投手もええしのう。こんなん、点入らんよ。交流戦も」と不安を口にしていた。そして、やはりというべきか苦しい戦績となっている。 だが「貯金6」のおかげでこのペースでも、なんとか上位を維持できている。単純計算でパ6球団相手の18試合を1勝2敗ペースの6勝12敗で終えればジャスト5割でリーグ戦に戻ることになる。5割で戻ればそれこそ、また「開幕」として戦えるかもしれない。 消極的にも思える数字だがオリックスと2試合、ソフトバンクと3試合、そして日本ハム1試合を残す今、現実味があるのではないか。そう考えれば最低ノルマは残り6試合で2勝だ。そのためには京セラドーム大阪の残り2試合で1つ勝つこと。まずはこれが必要だと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)