「理解できない投資に金を出すな」…“投資の神様”ウォーレン・バフェットの名言を実践するのが簡単ではない〈意外な理由〉
投資をやるうえで、避けられるリスクがあるなら避けておきたいもの。そのために必要なことは、「事業内容を自分で理解できる会社の株を買うこと」と、会社員投資家である奥山月仁氏は言います。奥山氏の著書『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より、詳しく見ていきましょう。
ユーザーとして満足した会社、家族のお気に入りの店を調べる
私はユーザーとして満足のいく体験をした時、必ずその会社のことを調べることにしている。大化け株は身近な所に潜んでいるからだ。 というのも、過去に次のような失敗の経験があったからだ。初めてビジネスホテルの「ドーミーイン」に泊まった私は、ワンランク上の部屋と大浴場、そしておいしい朝食に大満足して、ドーミーインを展開している共立メンテナンス(9616)を450円ほどで買った。 しかし、リーマンショックの傷跡が残っていた当時の経済状況を考慮して、「デフレに苦しむホテル業界で急成長は難しいだろう」と考えを変え、3割ほど値上がりした時点で売ってしまった。意に反して、同社株はその後も上がり続け、2015年12月には5,325円まで上昇し、「テンバガー(10倍株)」になった。 顧客のニーズをしっかりとつかんだ企業が成長軌道に乗った時の株価の上昇には目を見張るものがある。2倍や3倍、共立メンテのように夢の10倍もある。デフレなどの外部環境のマイナス要因は、長期的に見れば買い時をもたらしてくれる。このことも、この失敗で胸に刻んだ。 10年ほど前に妻から教えてもらったおしゃれな100円ショップのセリア(2782)に至っては、底値から100倍高という驚異的な成長を遂げた。ただ、極めて残念なことに私はこの株を買っていない。当時は、妻の買い物好きを強みとは考えていなかったのだ。 この教訓として、家族の強みも整理しておくことを強くお勧めする。娘さんに教えてもらった子供向け関連の企業が大化けする可能性だってあるのだから。