【国際政治学者が解説】トランプ氏の勝利宣言で今後どうなる? イエスマンで固めて「1期目とは全く別の政権になる」「日本は彼の言い値でやるしかない」【アメリカ大統領選】
アメリカファーストの時代に逆戻り「トランプ氏に対して利益を誘導できるかが重要」
――Q.トランプ氏は日本を含む外国製品に10~20%の関税をかける方針で、世界の経済にも大きく影響する可能性があるが、これまでの国際協調路線からまたアメリカファーストの時代に戻る? 簑原さん:そういうことですね。アメリカファーストは皮をむいてみれば『トランプファースト』なので、いかにトランプ氏に対して利益を誘導できるかというのが重要になってきます。アメリカの一部の億万長者が言ってますが、『初めて買収できる大統領が誕生するかもしれない』と、実際誕生したわけですよね。いかにそれを利用するかだと思います。
日本との関係はどうなる? 石破総理は「安倍さんのような関係を築くのは難しい」
――Q.日本とアメリカの今後の関係は? 簑原さん:彼はそもそもアジアにあまり関心がありません。1期目でも、かなり主要な国際会議を欠席していました。他方で、非常にトランザクショナル(商取引のよう)な関係、『僕のために何かしてくれたら、私も何かしてあげるよ』という。彼自身もお父様とそういった関係だったと言う人もいますので、それがDNAにベースとしてあるのだと思います。 トランプ氏に対して、日本としては彼の言い値でやっていくしかないと思います。その理由は、日本の防衛にはアメリカが不可欠だと。トランプ氏もそれをよく知っており、日本に対してレバレッジを持っています。そのため、日本は財布の紐を緩めて、彼の言い値をしっかり拠出することから始めると。 ――Q.安倍氏はかつてトランプ氏と良好な関係を築いていたが? 簑原さん:リーダーとしてのキャラクターが安倍さんと石破さんではだいぶ異なりますので、難しいと思います。かつて安倍さんがされたように、大統領に就任する前に会いに行かれるのか否か、手土産を何にするのか。この辺りの問題をどうしていくのか。 私は、今後4年間はだいぶしんどくなると思いますので、今までアメリカだけに依存していた部分を解消するために、EUの国々や隣国の韓国、オーストラリアなど価値を共有する国々同士の連携を強化していくのが最も合理的なパスだと思います。
簑原俊洋(みのはら・としひろ) 国際政治学者 神戸大学教授 インド太平洋問題研究所理事長 日米関係・国際政治が専門 カリフォルニア州出身 (『newsおかえり』2024年11月6日放送分より)