横山典＆モリアーナがヴィクトリアマイルでも魅せる！

［ＧⅠヴィクトリアマイル＝２０２４年５月１２日（日曜）４歳上牝、東京競馬場・芝１６００メートル］ 　ウオッカ、ブエナビスタ、アーモンドアイ…。名牝が勝ち名乗りを受けてきたヴィクトリアマイル（１２日＝東京芝１６００メートル）で今年狙うべきは、かつて名牝の一頭に乗って強烈な追い込みを決めた横山典が再現を狙うモリアーナ。スラブ語で「風の女神」という名を持つ馬が、最高の舞台で、最良の鞍上とともに最強の切れ味を発揮する。 「２０２３年で最も鮮烈だった追い込み勝ちは？」 　この質問に、モリアーナの紫苑Ｓを挙げる人は少なくないだろう。直線の短い中山で４角１４番手から豪快Ｖ。２着に敗れたヒップホップソウルの横山武が「１００点の競馬ができたけど、勝ち馬が１２０点だった」と父・横山典の手綱さばきに脱帽したあのレースだ。 　当時、タッグを組んで２戦目にして早くもタメにタメる競馬で極上の切れ味を引き出した名手はその後もモリアーナに騎乗し続け、決め手に磨きをかけている。前走・阪神牝馬Ｓでの最速上がり（３２秒９＝３着）もその一端だ。 「ＮＨＫマイルＣ（６着）からノリさんとコンビを組んできて、ここまで馬と鞍上のコンタクトもうまく取れているし、成熟してきているよね」とピタリ合った呼吸に目を細めるのは武藤調教師。ヴィクトリアマイルの長い直線で、最高の末脚を駆使してくれることを信じている。 　根拠はちゃんとある。「折り合いの難しい馬だけど、１週前追い切りの動きを見てもやっぱり左回りはスムーズに折り合える。これまで東京は３回使っているけど、負けた２戦（クイーンＣ３着、ＮＨＫマイルＣ）もそこまで着差（クイーンＣ＝クビ＋ハナ差、マイルＣ＝０秒５差）はなかったからね」。道中で余計なエネルギーをロスしなければ、その分、最後の脚に転化できる。加えて直線は５２５・９メートルのロングストレート。この舞台こそが追い込み馬モリアーナにとって最適であることは間違いないのだ。 　前述の１週前追いは美浦ウッドで６ハロン８０・７―１１・３秒の好時計を叩き出し、「体の張り感もいい」とトレーナー。デキの良さが〝数字〟と〝見た目〟に明示されているからだろうか？　ナミュール、マスクトディーヴァあたりが強力なライバルになりそうなのに「前回と同じようなメンバーだからね」と、武藤師には全く臆するところが見受けられない。 　横山典がヴィクトリアマイルで追い込んで勝ったといえば１０年のブエナビスタ。１４年の時を経て再び…。外から猛然と襲いかかる〝風〟に乗っかってみたい。