さよなら新鮮マンゴー......。4月から激変の物流「2024年問題」で宅配便はどれだけ遅れる?
今年4月からの物流業界の「働き方改革」により、現在のトラック輸送体制の崩壊が懸念されている。では、物流業界の「2024年問題」は宅配を待つ人たちにどんな不利益をもたらすのか? 業界関係者に取材しまくった! * * * ■さよなら新鮮なマンゴー 今年4月から、物流を担うトラックドライバーの働き方が変わる。 「トラック運転手の労働時間を規定する厚労省の『改善基準告示』が改正され、運転手の拘束時間が年間3516時間から3300時間に、1日の上限が最大16時間から15時間に短縮されます。 さらに、今まで運送業界に5年の猶予が与えられていた働き方改革関連法の『時間外労働の上限規制』も4月から施行され、これまで〝ほぼ無制限〟だった残業が年960時間に制限。 違反すると罰則(6ヵ月以下の懲役など)や行政処分(車両の使用停止・事業停止)が科される恐れもあります」(物流ジャーナリスト・森田富士夫氏) その影響について、あるネット通販の物流会社の幹部がこう続ける。 「厚労省の調査によると、21年度に新規制の上限である年3300時間を超えて働いていた運転者は、宅配から長距離輸送までトラック事業者全体で21.7%。長距離に絞れば31.8%に及びます。今年4月以降はこの層が規制対象となるため、単純計算で2~3割超の品が配送できなくなってしまいます」 これがちまたで言われている〝2024年問題〟だ。 同幹部は、「トラック運転手が長時間働けなくなるため、九州の生鮮品が首都圏に届かなくなる恐れがある」と指摘する。というのも、週5日勤務で拘束時間を年3300時間内に収めようと思えば、1日の労働時間は12時間程度が上限になる。 これを踏まえると、「南九州から東京に荷物を運ぶ際には、荷主の倉庫での集荷作業やトラックへの積み込み、運行時の休息などを考えると関西圏にたどり着けず時間切れとなる」という。 そこで、物流業界では発着地の中間拠点で別の運転手にバトンタッチする中継輸送の必要性が叫ばれているのだが、宮崎県の運送会社の社長がこう話す。 「首都圏までふたり態勢で運ぼうとすると人件費がかさむし、その分を運賃に転嫁しようと思っても荷主に拒まれるだけ。この業界で過半数を占める零細企業には、中継輸送は実現困難です」 では、どうするのか? 「収穫後に数日で傷んでしまうような生鮮品からは撤退せざるをえないでしょう。宮崎といえばマンゴーが特産ですが、今後は首都圏の市場やスーパーに新鮮なマンゴーが届けられなくなる」 前出の森田氏がこう続ける。 「4月以降は『南九州から関東』、『北東北から関西』といった超・長距離のトラック輸送が必要となる品目、特に傷みやすい果物や葉物野菜といった生鮮品で『モノ自体が運べなくなる』という問題が出てくる恐れがあります」