高校時代は"自然科学部" 大学でアツい話を浴びて、アメフト部へ 物理が好きなOLは、年明けの成人式が楽しみ
アメリカンフットボールの全日本大学選手権は11月16、17日に2回戦の2試合がある。東北大学ホーネッツ(東北学生、仙台市)は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった2020年を挟んで12年連続の出場。17日に宮城・角田市陸上競技場で広島大学(中四国)に勝ち、関西学生リーグで同率優勝を飾った立命館大学に挑もうと意気上がる。OL(オフェンスライン)の高守悠太(2年、清水東)は昨年のルーキーイヤーからオフェンスの最前線で体を張ってきた。 【写真】スナップを出し、相手にぶつかっていく東北大OL高守悠太
「高校時スポーツ」の欄に「自然科学」の4文字
高守は身長185cm、体重118kgの大きな体で、OLが横に5人並ぶ真ん中のセンター(C)を務める。大半のオフェンスのプレーは高守が5yd後ろのQB(クオーターバック)にボールをスナップすることから始まる。 私が取材に訪れた11月4日の東北学生リーグ優勝決定戦では、高守のスナップが何度か上へ左右へと乱れた。35-14で東北学院大学を下して選手権進出を決めた試合後、高守にそれを指摘すると、「はい」と苦笑いでうなずいた。「遠くまでブロックにいくときに、動きながらのスナップがちょっとズレちゃって。1回ズレると焦っちゃって、うまくいかなかったです」。まだフットボール歴1年半、ホーネッツの71番は発展途上にある。 東北学生リーグの大会パンフレットのメンバー表には「高校時スポーツ」の欄がある。東北大は54選手中「なし」が5人。いわゆる「帰宅部」だったり、文化系の部活だったんだろうなと想像した。そして目を引いたのが「自然科学」の4文字だ。「スポーツちゃうやん」と心でツッコミを入れながらも興味を持った。それが大男の高守だったから、一気に心をつかまれた。
高校に進むとき「運動はもう向いてないな」
高守は静岡から仙台へやってきた。出身の県立清水東高校はかつてサッカーの超強豪だった。高守が言う。「静岡県民なんで小学校のころにサッカーもやってみましたけど、あまり得意じゃなくて。バレーボールを始めて、中学までやってました」。なぜ高校では続けなかったのか。「中学でやりきって、運動はもう向いてないなと思って」。面白い男だ。 なぜ自然科学部を選んだのか。「もともと物理が好きで、将来的にそういう職に就こうと思ったので」。この部には物理班、化学班、生物班、地学班があった。高守の選んだ物理班は実験をしてレポートを書いたり、中学生向けに実験講座を開いたり。3年生のときには千葉大学が主催する「第16回高校生理科研究発表会」に参加し、「ミズクラゲの流動パラフィンでの体液置換による保存方法の研究」という生物分野の発表で奨励賞を受けている。 自然科学部で一番心に残っていることは? 「なんもないですね」。正直でいい。「部室で集まってトランプの大富豪をやりまくったり、始業から終業まではスマホの電源を切るっていう決まりなんですけど、休み時間にこっそり部室でゲームしたり。そんなのが多かったですね」。清水東高校には改築したての新校舎と旧校舎があった。物理班の部室は旧校舎にあったそうだ。「旧校舎はめっちゃ古いんですけど、その代わり自由で遊び放題な感じでした」。なんとなくイメージできるから面白い。