バブルか実需か? 10万ドルを超えたビットコイン価格はさらに上がるのか?
海外送金や決済については封じ込められた状態が続く
ビットコインが登場した当初は、法定通貨に代わる国家が管理しない新通貨として大きな期待を集めたという経緯がある。実際、ビットコインは洗練された設計がなされており、金本位制的な概念も内包されるなど、相応の価値が見込める技術といえる。 一方で、こうした高い潜在能力は通貨当局や金融機関からすると脅威となる。実際、各国の通貨当局は決済や送金に関する部分において神経を尖らせ、各種の規制を加えることで、事実上、その機能を封じ込めた状態となっている。 たとえば、日本国内でビットコイン事業者を通じて口座を開設し、ビットコインを購入することはできるものの、売却した場合には、原則として日本国内の口座に戻し、国内で税金を支払う必要がある。海外送金を行うには、氏名や住所などの情報を相手方事業者に通知する必要がある。また日本国内であっても、システムの仕様が異なる場合には、自由に送金できないケースがある。
仮に海外事業者に送金を行ったとしても、非居住者が現地に開設した口座で換金することは現実的に難しい。細かい違いはあるにせよ、各国の通貨当局は似たような規制を加えており、自由に決済手段として利用したり、送金を行うことは困難と考えてよいだろう。 一方で、自国内において同一事業者内で取引が完結するならば、ビットコインを購入したり売却することは多くの国で可能となっている。決済・送金としての機能はともかく、資産保全という機能については活用できる状況にある。 仮に米国でビットコイン規制が緩和されれば、ビットコインを組み込んだ金融商品の組成などが促進されるため、資産保全や投資対象としてのビットコインの魅力は高まるだろう。 一方で、トランプ政権であっても、海外送金なども含めた、通貨当局や銀行の権益を著しく脅かす緩和まで踏み込む可能性は低い。さらに言えば、米国が単独でそうした規制緩和を行ったとしても、他国の規制が残っている状態では、一連の機能は発揮できないだろう。