加古川の小2刺殺容疑者、17年前の事件を詳細に説明…元捜査員「初期の方向性に誤り」
17年前に兵庫県加古川市で小学2年の女児が刺殺された事件は、別の女児殺害事件で服役中の勝田州彦(くにひこ)容疑者(45)が逮捕されることになり、新たな局面を迎えた。ただ、物証や目撃証言に乏しく、県警は慎重に裏付け捜査を進める。 【写真】一連の事件を巡る経緯
2007年10月、7歳だった女児は自宅前の狭い路地で正面から襲われた。抵抗した際にできる傷はなかった。犯人については搬送時に「大人の男」と語ったが、直前に言葉を交わした家族や悲鳴で駆けつけた母親も不審な人物を目撃していなかった。
県警は当初、顔見知りによる犯行の可能性が高いとみて捜査。周辺での聞き込みや防犯カメラ映像の精査を行ったが、手がかりは得られなかった。08年から2年間、解決につながる有力情報に最高300万円が支払われる対象となり、遺族らが毎年の発生時期に街頭でチラシを配ったが、情報は徐々に減っていた。
元捜査員は「初期の方向性に誤りがあった」と語り、別の県警OBは「早い段階で暗礁に乗り上げてしまった。ずっと心に引っかかっていた」と振り返る。
似た手口
県警は15年、同県姫路市で女子中学生の腹や胸を刺したとして、勝田容疑者を殺人未遂容疑で逮捕。女児らを狙う点などが共通しているとみて、この時期も任意聴取を行った。勝田容疑者は加古川市の事件について関与を否定したが、県警は捜査対象から外さなかった。
勝田容疑者は18年、岡山県津山市で小学3年の女児(当時9歳)を刺殺したとして殺人容疑で逮捕された。当初は容疑を認め、「うその供述をした」と否認に転じたが、岡山地裁は22年、当初の供述の信用性を認め、無期懲役の判決を言い渡した。
兵庫県警は今年5月、刃物で襲う手口が似ていることなどから、06年に同県たつの市で起きた女児刺傷事件と加古川市の事件について、収容先の刑務所で改めて任意聴取を開始した。勝田容疑者は7月、たつの市の事件への関与を認め、8月には加古川市の事件についても関与を供述。「女の子の後をつけて刺した」などと述べたという。