バイデン米大統領、イスラエル支援のかじ取り難航か-ガザ地区空爆で
(ブルームバーグ): 中東情勢が緊迫化する中、バイデン米大統領はイスラエル支援を巡り一段と難しいかじ取りを迫られている。米当局者によると、バイデン氏はイスラエルのネタニヤフ首相と4日に電話会談を行う予定。
パレスチナ自治区ガザでは、有名シェフのホセ・アンドレス氏が設立した食料支援団体ワールド・セントラル・キッチン(WCK)の職員7人がイスラエル軍の空爆で死亡。シリアの首都ダマスカスでは、イラン大使館の敷地内の建物がイスラエルによるものとみられる空爆を受けた。
バイデン氏はイスラム組織ハマスに対するイスラエルの戦いを支持する一方で、同国の軍事作戦を批判してきたが、中東で今週起きたこれらの事件は同氏の戦略の限界を試している。
バイデン氏がネタニヤフ氏に対してどれだけの影響力があり、その影響力をどれだけ行使するつもりなのか、注目が集まっている。
ワシントンのシンクタンク、大西洋評議会の中東プログラムでディレクターを務めるジョナサン・パニコフ氏は、「米国がイスラエルに対する影響力を失いつつあるというよりも、米政府が影響力を行使することに当然のことながら消極的になっているということだ」と指摘。その理由として、高性能兵器の供給や国連でのイスラエル擁護といった「高コスト」を米国が抱えていることを挙げた。
バイデン氏は2日、WCK職員が死亡したことを受けて、イスラエルがガザ地区の支援要員や民間人を保護する十分な対策を講じていないと非難した。
イスラエルによるガザ軍事侵攻は、米国と欧州連合(EU)からテロ組織に指定されているハマスを一掃することが狙いだ。だが、イスラエル軍によるシリア空爆となれば、これまでイエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラ、ガザ地区のハマスなど反イスラエルの代理勢力を通じて活動してきたイランと、直接的な衝突が生じる恐れがある。
米当局者の1人は、大統領選を控えた米国ではイスラエルの行動に対する政治的圧力が高まっており、イスラエルはガザで深刻化する人道危機が極めて大きな反発を引き起こす可能性があることに気付くのが遅いと、センシティブな問題だとして匿名を条件に話した。