【毎日書評】新世代リーダーの必須スキル「ナチュラル・リーダーシップ」を持っている人の特徴は?
リーダーは常に迷うものですが、近年、働き方、生き方が大きく変わると共に、企業・組織の在り方も変化が求められていることから、リーダーの方々の悩みはますます深くなっているように感じます。(「はじめに スタンフォード大学で到達した理論より大切な『感覚』」より)より 『ナチュラル・リーダーシップの教科書』(小日向素子 著、あさ出版)の著者はこう述べています。これまでは自分の学びや経験を踏まえてリーダーを務めればよかったけれど、現代においては新たなリーダーのあり方を模索しなければならない。したがって、“いま”を生きるリーダーが戸惑い、悩むのも無理はないわけです。 著者にもそのことで悩んでいた時期があったようですが、そんななかで出会ったのが「牧場研修(ホースローグ。旧ホースコーチング)」。欧米では1990年代から取り入れられてきた、「自然からビジネススキルを学ぶ」という考え方だそうです。 無理に効能を証明しなくてもいい。人に理由を尋ね回らなくてもいい。自分が「これはすごい!」と感じたのなら、その感覚を信じるだけでいい。(中略) 自分の思い込みや理屈に縛られず、自分の感覚を信じて周囲と接する──。 それこそがリーダーシップの本質であり、牧場研修で得られる気づきの本質なのではないかと、私は確信しました。(中略) この牧場研修の構造、具体的なメソッド、ベースにある哲学を包括して、私は「ナチュラル・リーダーシップ」と名づけました。(「はじめに スタンフォード大学で到達した理論より大切な『感覚』」より) つまり本書にも、そうしたエッセンスが凝縮されているわけです。 CHAPTER 1「人、チームの可能性を広げる『しなやか』で『柔軟』なナチュラル・リーダーシップ」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみましょう。
ナチュラル・リーダーシップは「新世代リーダー」の必須スキル
急速に進化し続け、未来の予測が困難な時代に求められるのは、状況の変化に柔軟に対応すること、そして自らの「埋もれている力」を引き出すこと。そして「埋もれている力」は、「感覚」のなかにあるもの。 ともすれば鈍ってしまいがちな感覚のなかにこそ、本当の自分が持つ本来の力が埋もれているということです。では、その「感覚」はどうやったら取り戻せるのでしょう? 「感覚」を呼び戻すには、「雄大な自然の力」を借ります。自然は、埋もれてしまっている人間の感覚を開くにあたって、最高の環境を提供してくれます。(中略) 自然に触れ、その存在を意識することで、自然から得る視覚、聴覚、嗅覚的な刺激に集中し、鈍っていた感覚を開き、研ぎ澄ませていくことができます。 都会の部屋の中にいても、窓の外の木々を見たり、室内の花や観葉植物を愛でたり、ペットと触れ合うだけでも、ストレス軽減、気分の上昇、生産性と集中力の向上に寄与すると言われています。(24ページより) 著者が牧場で行っているのも、そうした理論に基づいたものなのだそう。積極的に自然と触れ合えば、身体感覚が研ぎ澄まされていく。そのため他者の反応をも敏感に察知できるようになり、自分の本心を感じ取ることもできるようになるというわけです。(24ページより)