失職知事の再選か、刷新望む新人か 他者への投票呼びかけまで飛び出した混沌の兵庫知事選
兵庫県の斎藤元彦前知事(47)の失職に伴い、31日に告示された同県知事選。過去最多となる7人の無所属候補は、いずれも大票田である神戸市から「第一声」を放った。斎藤氏の再選を阻もうとする新人か、それとも斎藤氏か。候補者の一人である政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が斎藤氏への投票を呼びかけるなど、異例の選挙戦となっている。 【写真】ゴルフ用品、スポーツ服…。兵庫県知事応接室に置かれた「おねだり」贈答品の数々 前参院議員の清水貴之氏(50)は、先の衆院選で日本維新の会公認候補としてくら替え立候補し、兵庫8区で公明党との直接対決に臨む構えだったが、維新県議団の要請を受けるなどして知事選出馬を決意。幅広い支持を得ようと離党して無所属で戦い、維新は支援の形を取る。 31日、同市中央区の選挙事務所で第一声。「大好きな兵庫が悪い形でニュースとして広まったことが残念。兵庫の混乱を何とかすることが今回の一番の争点だ」と訴えた。午後の出陣式には維新議員に加え、自民党の市議らも参加した。 同県尼崎市の元市長、稲村和美氏(52)は県議を務めた経験もあり、立憲民主党系の県議会会派や自民会派の一部が推す。「県政の混乱と停滞をしっかり受け止め、新しい兵庫をつくっていきたい」として第一声の場所を県庁前(神戸市中央区)とした。 県職員らに向け、「兵庫県はかつてない危機の中にある。風通しのよい県庁でしっかり県民のための仕事を進めていける兵庫県にしていきましょう」と呼びかけてアピール。このあと神戸市内で開いた出発式には、立民系会派や自民の県議に加え、自民や国民民主党の国会議員らも顔を並べた。 一方、県議会から全会一致で不信任決議を受け、失職して出直し選に臨む前職の斎藤氏。人通りの多い同市中央区の神戸元町商店街付近の広場で第一声を上げた。 失職・出直し選の発端となった告発文書問題については多くを語らず、「反省すべきは反省し、改めるべきことは改めていく。自分を見つめ直して、よい県政を実現させていく」。最も強調したのは知事に在任した3年間の実績で、天下り制度や海外事務所などの見直し、県庁舎建て替え計画の凍結などを挙げ「進めてきた改革を止めるわけにはいかない」と叫んだ。 立花氏は斎藤氏の演説終了から約30分後、斎藤氏と同じ広場で第一声。「斎藤さんを助けないと、この国がえらいことになる」とし、「斎藤さんが圧勝しなければならない。圧倒的な得票差でもう一度戻さなければいけない」と強調した。