トランプ関税、インフレを悪化させ雇用を奪う=メキシコ大統領
Sarah Morland Brendan O'Boyle [メキシコ市 26日 ロイター] - メキシコのシェインバウム大統領は26日、トランプ次期米大統領がメキシコとカナダからの全輸入品に25%の関税を課す方針を示したことについて、インフレを悪化させ雇用を奪うと危機感を表明した。トランプ大統領との電話会談を求め、対話と協力を求める書簡を送るほか、カナダのトルドー首相にも書簡を送るという。 シェインバウム大統領は記者会見で「関税が次から次へと課されれば両国の事業が危険にさらされることになる」と述べ、両国でインフレと雇用喪失を引き起こすと指摘。特にゼネラル・モーターズやフォードなど、メキシコに工場を持つ米自動車メーカーに大きな打撃を与えるとした。 メキシコの自動車産業は同国にとって最重要製造業であり、製造業輸出額の35%以上を占める。メキシコ製自動車の最大の輸出先は米国で、最大79%が米国向けとされる。 メキシコぺソは2%超下落し、6カ月に及ぶ急激な下落基調がさらに強まった。 アナリストの見方は分かれている。 CIBancoのアナリストらは、これはトランプ氏の交渉戦術だとの見方を示し、関税は米国経済にも打撃を与えるため、最終結果はそれほど深刻なものにはならないと考えていると述べた。 一方、キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジュリア・ベリコソ氏は「トランプ氏が新たな貿易戦争を始めると予想している」とみる。関税は米企業によるメキシコへの生産施設移転(ニアショアリング)に対する楽観的見方を損ない、投資を抑制し、メキシコ株式市場に打撃を与える可能性が高いと述べた。