<北朝鮮内部>配給不履行に農民が抗議行動 警察が出動 幹部が食糧を流用で不満噴出
◆3カ月分の食糧から1カ月分が消え農民たち憤怒
A農場では、4月上旬に配給が実施される過程で問題が発生した。3カ月分を支給するという約束だったのに2カ月分しか出なかったのだ。協力者は次のように説明する。 「農民たちは農場に預けている食糧があると考えていたのだが、それが2カ月分しか支給されなかった。しかもトウモロコシの保管がうまくいかず、カビが生えていたのを見て、農民たちは怒りを爆発させた。 1日2食で我慢して4月の配給を待っていたのに、約束が守られず農民たちは怒ったのだ。それで何人かが農場管理委員会に出向き、『我われの食糧を寄こせ』と叫んで騒いだため、安全部(警察)まで出動した」
◆農場経営陣は事件収拾に急ぐ
農業行政機関の幹部らの約束不履行はもちろん無責任なのだが、彼らのせいとばかりとは言えないようだ。協力者は社会構造に問題があるとして、次のように説明した。 「行政の幹部たちは、上からの各種の『宿題』(上部機関や高級幹部が要求する賄賂やノルマなど)にも対応しなければならないし、農場経営のための営農資材も購入しなければならない。でも予算の金がないので、とうとう配給に手を出してしまったのだ」 問題の発端となった幹部たちは、農民たちの目を気にしながら、事件の収拾に急いでいる様子だという。騒ぎを起こした農民たちを問題視したり、捕まえたりはしなかったという。また、里(村)の労働党組織でも問題が大きくなるのを恐れて、食糧配給を追加で支給すると農場員らに通知したという。 今回の事件は、金正恩政権の農村政策から生じた副作用といえる。国家が農民を収奪し、都市が農村を搾取する現在の構造では、同様の事態が繰り返されるかもしれない。 ※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入し連絡を取り合っている。