伝統芸能を未来へ。高校卒業資格も取得できる、芸舞妓の養成スクールが岐阜市で開校
日本人としての精神性の大切さを日常の生活や稽古を通して学ぶ
ここには、かつて家庭や社会のなかで培われてきた人間関係や、美意識、物を大切にするといった、現代の日本人に失われつつある心を自然に学べる環境があるようです。遊宴文化は単に芸事を披露することではなく、そこに宿る相手への気遣い、楽しんでいただこうとする思いやり、そういったおもてなしの精神が受け継がれているのです。 「芸舞妓、幇間(ほうかん)の育成は、20年以上やっていますし、子ども向け、大人向けに鳴り物の教室や踊りの稽古もずっとやってきました。今回、学校というかたちを取り入れ、新たなスタートを切りましたが、大事にしたいのは、現場で伝えるべきこと、言葉で言わなくてもわかるという精神的な世界でもあります。そういった部分は、見よう見まねで覚えていってほしいと思っていますし、その部分こそが、この世界の魅力であり、お客様に伝わるおもてなしの心だと思います」と小野崎さんは語ってくれました。 ■風情ある長良川の自然と歴史を芸舞妓とともに味わう船遊び、信長公のおもてなし 1300年の歴史を誇る長良川鵜飼。かつては織田信長や徳川家康も親しんだ日本の伝統文化です。かがり火に照らされた幽玄な世界は、日本人だけでなく、今では多くの海外の人たちも魅了しています。芸舞妓がこの船上でおもてなしするのが、岐阜が誇る遊宴文化であり、かつて神楽や巫女舞に通じる芸舞妓の舞でした。こうした船遊びの場で芸舞妓が活躍できるのは岐阜ならでは。秋には、2025年度入学募集も開始され、岐阜伎芸学院で修行した芸舞妓たちが、幅広く、日本文化の魅力を伝えてくれる日が楽しみです。 information 岐阜伎芸学院 住所:岐阜県岐阜市東高岩町19 Web:岐阜伎芸学院 writer profile Naomi Kuroda 黒田 直美 くろだ・なおみ●愛知県生まれ。東京で長年、編集ライターの仕事をしていたが、親の介護を機に愛知県へUターン。現在は東海圏を中心とした伝統工芸や食文化など、地方ならではの取り組みを取材している。食べること、つくることが好きで、現在は陶芸にもはまっている。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。