【高校サッカー選手権】中盤の底で攻守の繋ぎ役を担う元ストライカーが衝撃のハットトリック 2年連続で選手権出場を狙う矢板中央を予選決勝に導く大活躍
今年の矢板中央は攻撃的なスタイルを貫いている。伝統は堅い守りと鋭いカウンター。ロングスローも含め、セットプレーも強みとしてきた。今まで積み上げてきたチームのカラーは生かしつつ、今季は新たなサッカーに取り組んでいる。システムを往来の4-4-2から3-1-4-2に変更。1月の件新人戦から着手し、最終ラインからボールを繋ぎながら、サイドと中央を使い分けながら押し込んでいく戦い方にシフトチェンジを図った。徐々にその成果は現れており、今季は撃ち合いになる試合も珍しくない。プリンスリーグ関東1部でも4位につけ、プレミアリーグ参入プレーオフ出場圏内の3位以内に手が届く位置につけている。 【フォトギャラリー】矢板中央 vs 足利大附 そうした状況下で迎えた第103回全国高校サッカー選手権栃木予選。過去4度の全国ベスト4を誇る強豪校は順当に勝ち上がり、11月9日には準決勝で足利大附と対戦。序盤からゴールを積み重ね、5-0の快勝で2年連続の選手権出場に王手をかけた。 ゴールラッシュを決め込んだ一戦で輝きを放ったのが、アンカーを務める田中晴喜(3年)だ。元々はFWのプレーヤー。昨季もストライカーとしてプレーし、今年1月の県新人戦から新たなポジションで起用されている。 この足利大附戦も中盤の底でプレー。最終ラインを助けながら攻撃の出発点となり、自らも高い位置をとって果敢にゴール前へ顔を出した。23分にはFKの流れから左足で押し込んで先制点を奪うと、3-0で迎えた60分にはPAのやや外から鮮やかなドライブシュートを左足で突き刺す。勢いに乗った田中は2分後にもゴール前の混戦からネットを揺らし、ハットトリックを達成した。 「高校に入ってから初めて」 少しびっくりしたような表情を見せたが、「ボランチで守備をやりつつ、点を取れる隙があれば取りたいと思っていた。なので、狙っていましたね」 FW時代はドリブルで勝負するタイプのプレーヤーだったが、ボランチとしては裁き役と潰し屋として台頭。左利きで視野も広く、運動量もあり、新たなポジションで手応えを掴みつつある。 「調子に乗りやすいから」と髙橋健二監督は厳しい言葉を投げかけたが、攻守両面でチームの勝利に貢献したのは間違いない。16日の決勝(國学院栃木)でも中盤でタスクをこなしつつ、自らのゴールで勝利に導けるか注目だ。