日本代表 選手層の質と厚さを示したW杯最終予選オーストラリア戦【サッカー W杯最終予選】
新しい組み合わせ
1点ビハインドとなった直後、日本のベンチが動いた。森保監督はMF伊東純也(スタッド・ランス)を投入。さらに後半25分に中村とMF鎌田大地(クリスタルパレス)を送り込むと、新しい組み合わせを試した。 左ウィングバックを務めていた三笘を一つ内側にシフトして、中村を左外でウィングバックに置く。 右ウィングバックに入った伊東とともに、両サイドにスピードとドリブルで切り込める3選手が並ぶ攻撃的布陣となったが、この組み合わせが、後半31分の同点ゴールにつながった。 右サイドのタッチライン際でボールをキープした伊東が中へつなぎ、鎌田から最終ラインを経由して左に流れた田中へ展開。最後に左サイドで中村がパスを受けると、三笘が寄ってくる相手選手と中村の間に立ってブロック。 スペースを得た中村はドリブルで抜け出てペナルティエリア左深くまで切り込み、「目が合った」という上田に鋭く低い弾道の強いクロスを送った。これが相手DFの足に当たってオウンゴール。日本が1-1に追いついた。 中村はこの場面の三笘のプレーに、「二人で崩した。僕がフリーになるような動きをしてくれた」と感謝。 突破からの速いクロスについても「低いボールのクロスは意識していた。カウンターの場面で自分がトップスピードでクロスを入れるのは、フランスリーグでより身体能力の高い選手がほとんどという中でやっている」と言い、日ごろからフランスの高いレベルで揉まれている成果だと話した。 中村は昨年3月のウルグアイ戦のデビューからこの試合で出場は13試合目。 そのうち先発は今年6月のアジア2次予選シリア戦まで7試合で、最終予選では9月5日の中国戦は出番がなく、同10日のバーレーン戦と10月10日のサウジアラビア戦の2戦連続でベンチスタート。しかも、サウジアラビア戦の出場は後半43分からと短いものだった。 それでも中村は「途中出場に関しては、なんとも思っていない」と言い、焦る様子は見られない。「同じポジションで(選手の)レベルが高いので、その中で出場時間が限られるのは理解している」と言う。 最終予選と言うプレッシャーも特にないという千葉県出身の24歳のアタッカーは、「試合に出たときに何か残したい。自分が出たときに結果やチームのために何かできればいい」と話していた。 スタッド・ランスでの同僚でもある伊東は中村について、「後半から出ても自分の力を出す能力がある」と太鼓判を押し、この日のプレーについても「キレていたと思うし、良かったと思う。久しぶりにあんなドリブルで抜いている敬斗を見た」と同僚の同点ゴール演出の活躍を喜んだ。 MF南野拓実(モナコ)も「代わって入ってくる選手も、交代した選手も、違う特徴を持った良い選手がいる。選手層の厚さを示せたかと思う」と話した。