岸田派が解散で「岸田政権の支持率」が上がる可能性も
気になるアメリカの分断
奥山)やはり、アメリカの分断状況が非常に気になるところです。イアン・ブレマーさんが率いる「ユーラシア・グループ」という調査会社では、毎年10大リスクを上げるのですが、今回トップに出てきたのがアメリカの分断なのです。 飯田)「米国の敵は米国」という。 奥山)アメリカ自身が敵になってしまっている。トランプ前大統領が先日、アイオワ州の共和党員集会で圧倒的な1位になりましたが。
トランプ前大統領が大統領選で掲げているメッセージは「報復」 ~アメリカ国内が分断されてしまう
奥山)これまでのアメリカ大統領選挙は、基本的には新たに変わっていくものを掲げていました。オバマ大統領のときの2008年は「Hope」でした。 飯田)そうでしたね。 奥山)毎回、大統領選挙では「新たに生まれ変わっていく」というメッセージを出しています。前々回もヒラリー・クリントンさんが出て、女性初の大統領を変化として掲げ、「新しいアメリカをつくる」という意識があった。しかし今回、トランプさんが掲げているのは「報復(retribution)」なのです。「俺に対していままで歯向かってきた人間に報復してやる」という意向をあからさまに出しています。アメリカ国内が本当に分断されてしまうのではないかという、恐ろしい状況にあるのです。 飯田)今回の大統領選は。 奥山)希望ではなく、報復に焦点が置かれている。これまでアメリカ大統領選をいろいろ見てきましたが、こんなにワクワクしない、暗さが目立つ大統領選はありませんでした。超高齢者同士が、「相手がダメだ」ということを武器として戦ったり、陰謀論が浸透している。
大統領候補が91の案件で起訴されているという異常な状況
奥山)そもそも一方の大統領候補が91件の案件で起訴され、しかも支持率が上がっているという異常な状況です。候補者ではあるのですが、もしトランプ前大統領が刑務所に入ってしまったらどうするのか。刑務所のなかで当選したら、支持者がまた暴動を起こして刑務所を襲うような状況も起きかねない。収監されているのに選挙で勝つなどという異常事態が考えられるのです。 飯田)その場合、就任したあとは、自分で自分を恩赦するのでしょうか。 奥山)ただ、ジョージア州のように連邦の権限がない、州レベルの有罪になってしまった場合の問題など、アメリカの歴史になかったような、とんでもない状況にあるのです。どうなってしまうのか本当に心配です。これまで世界秩序を支え、「目指す民主主義はアメリカだ」と唱えていたアメリカ自身が、民主主義を壊すようなことを行っているのは非常に気になります。 飯田)ウクライナへの支援がどうなるかなど、いろいろありますからね。