和田毅引退で「松坂世代」が完結…投手成績を見直すと面白い「じつは松坂大輔より和田と杉内俊哉の方が」「メジャー挑戦は藤川球児ら4人」
永川、小野寺、江草、小林正…名リリーフが数多い
続いては、11~20位。 永川勝浩(80年12月14日)広島新庄高ー亜細亜大/広島 527試38勝42敗165S79H 582回 率3.46 雄太(80年6月17日)上田西高ー大東文化大-日本通運/中日 100試28勝31敗0S1H 489.2回 率3.44 長田秀一郎(80年5月6日)鎌倉学園高ー慶應義塾大/西武、DeNA 389試25勝25敗2S85H 420回 率4.14 小野寺力(80年11月26日)鴻巣高ー常磐大/西武、ヤクルト 310試23勝24敗59S31H 364回 率4.05 加藤大輔(80年7月27日)九州国際大付高ー神奈川大/オリックス、楽天 400試22勝28敗87S54H 490.1回 率3.73 江草仁貴(80年9月3日)盈進高ー専修大/阪神、西武、広島 349試22勝17敗0S48H 442.1回 率3.15 杉山直久(80年12月25日)東舞鶴高ー龍谷大/阪神 94試21勝23敗0S0H 429回 率4.01 多田野数人(80年4月25日)八千代松陰高ー立教大/日本ハム 80試18勝20敗0S2H 333.1回 率4.43 石堂克利(80年4月18日)愛工大名電高/ヤクルト 26試11勝10敗0S0H 123.2回 率6.19 小林正人(80年8月21日)桐生第一高ー東海大/中日 293試11勝4敗1S62H 167.1回 率2.90 藤川の前にやや影が薄いが、永川勝浩もカープの全体的なストッパーだった。 タイトルには無縁だったが、2007~09年にかけての3年連続30セーブは目覚ましい。こうしてみると各チームの先発、さらに永川以降も長田、小野寺、加藤、江草、小林など救援で頼りになる存在だった投手が本当に多いことに、改めて思いいたる。
メジャー挑戦した投手が4人もいる
またこの世代は、MLBに挑戦した投手が4人出た。MLBでの実績は以下の通り。 松坂大輔 2007~14年 レッドソックス、メッツ 158試56勝43敗1S 3H 790.1回 率4.45 和田毅 2014~15年 カブス 21試5勝5敗0S 0H 101.2回 率3.36 藤川球児 2013~15年 カブス、レンジャース 29試1勝1敗2S 1H 26.2回 率5.74 多田野数人 2004~5年 インディアンス 15試1勝1敗0S 0H 54.2回 率4.47 松坂大輔は5111万1111ドル11セント(当時のレートで約60億円)ものポスティングフィーでレッドソックスに移籍し、ジョシュ・ベケットと共にダブルエースとして活躍。初年度にワールドチャンピオンに輝いた。宿敵ヤンキースとの対戦では、松井秀喜やデレク・ジーター、アレックス・ロドリゲスらと名勝負を繰り広げた。 一方、和田と藤川は、十分な活躍ができたとはいいがたい。また、多田野はNPBのドラフトにかかる前にインディアンスの入団テストを経てメジャーで投げた。なお松坂、和田、藤川はMLB在籍中にトミー・ジョン手術を受けている。アメリカでプレーすることの過酷さを象徴している。 松坂世代からは200勝投手は出なかった。最多勝は和田の160勝、日米通算では松坂の170勝となる。243セーブ163ホールドの藤川球児が特例で「名球会」入りしているが、他に「名球会」入りした投手はいない。 投手の分業が進む中、昔の大投手のような実績を上げることは難しくなった。しかし「松坂世代」は、松坂大輔という「世代の星」を多くの優秀な選手たちが追いかけたことで、球史に残る、豊かで多様な「一時代」を築いたと言えるだろう。 ここまでは投手を取り上げたが、野手でも村田修一を筆頭に、多士済々の陣容となっている。 〈つづく〉
(「酒の肴に野球の記録」広尾晃 = 文)
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