還暦で現役復帰したお宝電車
ところが2023年夏、再整備されているようだとの目撃情報が流れた。秋になると「転属記念回送列車ツアー」が発表され、アーバンパークライン(野田線)での活躍が期待された。ツアーは、本来なら無人の回送列車を団体列車として走らせるという粋な企画だった。 11月1日からほぼ毎日、アーバンパークラインで営業運転されるようになった。さっそく筆者は営業開始3日目に見に行ったが、待てど暮らせどやってこない。「運転されず車庫で休む日か」と思ったら、X(旧ツイッター)に「故障で車庫に回送された」との投稿があった。 これが不運の始まりで、筆者の休日に限って8111編成が運転されないとか、向かった撮影地が先客で埋まっていたという状況が続いた。撮影をあきらめて乗ることにした。あのボロボロだった電車がピカピカになり、沿線の日常生活を支える列車として快走している。そんなお宝電車に乗って目撃者になれたのは、不運どころか幸運だった。
☆共同通信・寺尾敦史