トヨタとNTT、AI運転支援技術開発へ5000億円投資-事故ゼロへ
(ブルームバーグ): トヨタ自動車とNTTは31日、自動車事故を減らすため、両社で2030年までに計5000億円を投じモビリティ分野向けの人工知能(AI)などを共同開発して将来の運転支援技術に活用していくと発表した。
発表によると、両社はAIと通信などを組み合わせた「モビリティAI基盤」を共同で構築し、運転支援・自動運転システムや危険回避を促すAIエージェントの開発などの取り組みに活用していく。モビリティ分野で標準化することを目指す同基盤の開発を25年以降に開始し、28年ごろから社会実装、30年以降の普及拡大を目指す。
トヨタの佐藤恒治社長はNTTとの共同会見で、今後普及が予想されるソフトウエアの更新で機能の追加や性能向上などが可能になるソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)において「最も重要な提供価値は安全・安心、すなわち交通事故ゼロの社会に貢献していくことだ」と話した。
その上で佐藤氏はSDVの普及に伴って車に必要な計算量や通信量が急増するとの見通しを示し、NTTが提唱する光技術による通信基盤で低消費電力・低遅延などの強みがある「IOWN(アイオン)」を活用してデータセンターを分散して設置していくなど具体的な取り組みを示した。
米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、乗用車市場で先進運転支援(ADAS)や自動運転技術は35年に最大4000億ドル(約61兆円)の売上高を生む可能性があり、各社が開発を進めている。米国や中国では自動運転タクシーの取り組みが進んでいるが関連の事故も発生している。
トヨタとNTTは17年3月、車とインターネットがつながる「コネクティッドカー」向けの通信技術基盤の研究開発で協業することを合意。20年3月には資本業務提携で合意、相互に自己株式約2000億円を割り当てていた。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Tsuyoshi Inajima