記念撮影に笑顔で応じるなでしこジャパン・熊谷紗希（左）

　日本サッカー協会は２０日、女子日本代表「なでしこジャパン」が北朝鮮代表と対戦するパリ五輪アジア最終予選第１戦（２４日）が、サウジアラビアのジッダで開催予定と公表した。千葉県内で取材に応じた佐々木則夫女子委員長（６５）は、１９日午前に「ＡＦＣ（アジア・サッカー連盟）からサウジアラビアのジッダで開催する方向だと情報が入り、その旨で準備をしてください、という指示があった」と説明。試合開始時間が固まっていない。チームは２０日夜、千葉市内の宿舎を出発し、サウジアラビアへ向かった。 　五輪の切符を懸けた大事な一戦の開催地が、試合日まで１週間を切っても決まらない。そんな前代未聞の異常事態がようやく動き出した。 　２４日の試合は平壌で開催予定だったが、日本協会が空路の便がないことや試合運営で不透明な要素があることを懸念。８日にＡＦＣから北朝鮮側に中立地域会場の提案を通達後、日本は協議結果を待つ状態が続いていた。 　佐々木委員長によると、北朝鮮側の提案で中国開催案も浮上したが、最終的にＡＦＣがサウジアラビア開催の方針を決定したという。ＡＦＣから正式通達はないが、同国開催の方向で準備を進める。 　ドタバタ劇に、選手のコンディション面への影響にも心配が及ぶ。欧州でプレーする一部の選手は、２８日の第２戦（国立）までの間に欧州、日本、中東、日本と長距離移動を繰り返す。２０日に合流した主将のＤＦ熊谷（ローマ）は１９日に帰国したばかりで「私たちは従って、いい準備をするしかない」としつつも、本音を吐露した。 　「正直、こんなことが起こっていいのかなと。やっぱりオーガナイズする方にもベストコンディションで臨ませる責任があると思う。今後こんなことがあってはいけない」 　同様に合流したＤＦ南（ローマ）は、動じず前向きに取り組む選手を見て感心したといい「たぶん、外国の選手だったらめっちゃ文句言っている。本当に日本の選手はすごい。みんなすてきです」と語った。 　試合の開始時間も固まっていない中、サウジアラビアへ向かった。池田監督は「アウェーの試合に行くっていうのは変わらない」と、どっしりと構える。モヤモヤする思いは、ピッチでぶつけるのみだ。 　◆サッカー女子のパリ五輪への道　アジア最終予選は、２次予選を勝ち上がった４カ国が２組に分かれてホーム＆アウェー方式で対戦し、勝った２カ国が本大会に出場する。日本は北朝鮮と対戦し、もう一方は２月２４日と２８日にウズベキスタンとオーストラリアがホーム＆アウェーで戦う。２戦合計の勝者が五輪出場権を手にする。 　◆ジッダ　サウジアラビア西部の紅海に面し、首都リヤドに次ぐ大都市。人口は約４００万人（２０１４年）。一年を通して高温多湿で、２０１０年６月には最高気温５１度を記録した。日本との時差は６時間。昨年１１月２１日には、サッカー男子日本代表がシリアとのＷ杯アジア２次予選に臨み、久保建英（レアル・ソシエダード）の得点などにより５－０で快勝した。