世界にはより多くのEVが必要-過剰生産批判に中国財政次官が反論
(ブルームバーグ): 中国財政省の廖岷次官は26日、世界的な気候変動との闘いとインフレ抑制に中国の生産能力が貢献していると述べ、同国産業の過剰生産能力に対するイエレン米財務長官の批判に反論した。
廖次官は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するために訪れているブラジルのリオデジャネイロでブルームバーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、「中国は数十年にわたり、価値のある製品の供給を通じて世界におけるディスインフレの力となってきた」と語った。
同次官は「各国が2030年までに温室効果ガス排出量の削減目標を達成しようとしている今、中国は世界に環境に優しい製品も提供している」と説明。国際エネルギー機関(IEA)の予測を引用し、それまでには新エネルギー車の世界需要は4500万-7500万台に達し、現在の供給能力をはるかに上回る見込みだと付け加えた。
この前日、イエレン長官は「マクロ経済モデルについて中国に対処するよう求め続ける」と発言していた。同長官は、中国が「過剰な」貯蓄と補助金を製造業につぎ込み、過剰生産能力につながっていると指摘した。
欧州連合(EU)は中国製電気自動車(EV)への追加関税導入を進めている。トランプ前米大統領は、11月の大統領選で勝利した場合、中国からの輸入品に50%以上の関税を課す方針を表明している。ブラジルやトルコを含む一部の新興国も鉄鋼や自動車などの中国製品に関税を課しているが、中国の産業政策を批判する声はそれほど大きくない。
中国は主要経済国が抱く過剰生産能力への懸念に留意しているが、関税のような貿易面での脅しを同国としても懸念していると廖次官は発言。「市場経済のルールと事実について率直にコミュニケーションを取るべきだ」と述べた。
同次官はトランプ政権時代に米政府当局者と交渉したチームの主要メンバーだった。当時の劉鶴副首相の側近として米国を訪問し、大統領執務室でトランプ氏と会談した。最近では、4月に訪中したイエレン長官を出迎えた。