伸び悩んでいる? レンタル先で苦しんだ逸材Jリーガー6人。来季も茨の道? もがき続ける若者たち
FW/MF:棚田遼(たなだ・りょう)
生年月日:2003年6月9日 保有元クラブ:サンフレッチェ広島 期限付き移籍先クラブ:いわきFC 今季リーグ戦成績:10試合0ゴール0アシスト サンフレッチェ広島の将来を担うテクニシャンが、思うような成長曲線を描けていない。 現在21歳の棚田遼は広島の下部組織で育った。2021年に当時17歳でトップチームに2種登録されると、同年5月に行われたYBCルヴァンカップ・横浜F・マリノス戦(1-1)でプロデビュー。2022年には正式にトップチーム昇格を果たした。 彼の大きな魅力は卓越したテクニックにある。ボールタッチ、ターンなど、ひとつひとつのプレーの質が高く、狭いエリアを難なく攻略するドリブルは武器の一つだ。2列目やサイドからでも相手ゴールを脅かすことができる。 そんな棚田だが、広島では出場機会に恵まれない。2022シーズン、2023シーズンを合わせたリーグ戦の出場数はわずか「5」。ミヒャエル・スキッベ監督の信頼を掴むには至らなかった。同選手は成長の機会を求めて、今年2月にいわきFCへ期限付き移籍している。 ただ、プレーの拠点を変えても苦しい時期は続いた。いわきでは6月までベンチ外となり、第20節ヴァンフォーレ甲府戦(1-1)でようやくベンチ入りを果たしている。 その後、棚田は途中起用がメインではあったもののリーグ戦10試合に出場した。そのうち2試合では先発に名を連ねており、大きな自信になったはずだ。 だが、まだブレイクしたとは言い難い。次の目標はコンスタントに出場機会を得ることである。 彼の台頭を待ちわびている広島サポーターは少なくないだろう。棚田はその期待に応えて、来季こそは殻を破ることができるだろうか。
MF:名願斗哉(みょうがん・とうや)
生年月日:2004年6月29日 保有元クラブ:川崎フロンターレ 期限付き移籍先クラブ:ベガルタ仙台 今季リーグ戦成績:16試合0ゴール0アシスト 川崎フロンターレが保有するMF名願斗哉は、確実に成長を続けている。ただ、十分な出場機会を確保できていたかと言われると、そうではないだろう。 現在20歳のサイドアタッカーは、2023年に履正社高校から川崎Fに加入した。才能ある若手の目利きに定評がある川崎Fが獲得に動いたことからも分かる通り、名願が秘める潜在能力の大きさは計り知れない。 高校3年時の全国高校サッカー選手権大会では、履正社高校が3回戦敗退となったのにもかかわらず、鮮烈なインパクトを残したことで「優秀選手」の1人に選ばれており、「三笘薫2世」との呼び声も高い存在として注目された。 しかし、そんな名願でも川崎Fではほとんど出場機会を得られなかった。昨季はYBCルヴァンカップと天皇杯にそれぞれ1試合ずつ出場したのみであり、リーグ戦では1試合もピッチに立つことはできず、今年2月からベガルタ仙台へ期限付き移籍している。 それでも、状況は完全に好転したとは言い難い。前年よりは格段にプレータイムが増えたが、ベンチ外の試合も多く、仙台のJ1昇格が懸かったリーグ終盤戦にはほとんど絡めず。リーグ戦ラスト10試合で出場したのは第31節・藤枝MYFC戦(2-3)のみである。 ベンチ外、またはベンチを温める試合が続いていた名願だったが、今季は最後の最後で大仕事が回ってくる。J1昇格プレーオフ決勝という大舞台で出場機会を得たのだ。久しぶりにピッチに立ち、約25分間プレーすることができた。 残念ながらチームはファジアーノ岡山に敗れ、試合終了後に名願は大粒の涙を流していた。それだけこの試合に賭ける思いが強かったのだろう。この悔しさを力に変え、来季のさらなる飛躍に期待したい。