SixTONES・ジェシーの“静の演技”はなぜ凄い? ドラマ『モンスター』で切り拓いた新境地とは? 趣里とのコンビを解説
趣里が主演を務める月10ドラマ『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)に、SixTONESのジェシーが出演中だ。ジェシーが本作で演じるのは、東大法学部卒、3年目の若手弁護士・杉浦義弘。今回は、弁護士役を通して新たな表情を見せるジェシーの演技に注目してみたい。(文・柚月裕実) 【写真】ジェシーの演技に目を奪われる…貴重な未公開カットはこちら。ドラマ『モンスター』カット一覧
月10ドラマ『モンスター』で東大卒弁護士役に挑戦
物語の舞台は、大草圭子(YOU)が所長を務める大草圭子法律事務所。そこにやってきたのが趣里が演じる神波亮子。常識にとらわれず、感情を排除して相手と向き合う得体の知れないモンスター弁護士の紹介文の通り、ラフなパーカー姿で一見すると弁護士には見えないのだが、高校3年生で司法試験に一発合格した才女。ゲームが好きで英語も堪能。型破りな方法で法廷闘争に立ち向かう、つかめそうでつかめないミステリアスなタイプだ。 一方、ジェシーが演じる杉浦義弘は、真面目で努力家。東大卒のプライドがあるものの、型破りな“モンスター”神波に振り回されてばかり。 杉浦は、エリートらしくビシッとスーツを着こなし“いかにも”という弁護士らしいスマートな印象。それに対して神波は、小柄にオーバーサイズのパーカーやシャツを合わせるラフなスタイル。フェイスラインを覆う長めのボブとナチュラルメイクがまたミステリアスな印象に。そんな両者の対比もユニークだ。
趣里扮する神波のモンスターぶりに翻弄される
ジェシーが弁護士役を演じると知り、きっとスマートに弁護を担当するのでは…と勝手に想像していただけに、杉浦のキャラクターや取り巻く環境にはいい意味で裏切られた。 第1話の冒頭で、杉浦はホワイトボードに事件を整理し、事務所のパラリーガルの村尾夫妻、洋輔(宇野祥平)、由紀子(音月圭)に説明していた。はきはきと簡潔に、被害者の情報などを伝えていく杉浦。事件の情報を正確に捉え、伝達する場面にふさわしいフラットな表情を浮かべていたのだが、神波の登場によって左眉が動いた。 そして神波の自己紹介を受けて、杉浦は「弁護士をやってみることにした、っていうのは...?」と復唱しながら不思議そうに見つめる。神波の登場によって、ここからキリっとした印象がどんどんと崩れていった。何もないデスクで資料に目を通した神波は、名刺を箱ごと持ち、自殺教唆の罪で起訴された塩屋遼(萩原利久)のもとへ面会に行くという。 手ぶらで足早に歩く神波に、「それで行くの?」「資料とか色々あるでしょ!?」とバッグの中身を見せながら真っ当な指摘をする。 こんな風に第1話の冒頭から型破りな神波に翻弄されていた。弁護士として、社会人として常識的なキャラクターがあればあるほど神波のモンスターっぷり、物語の面白さが増してくる。 新人弁護士のはずが、杉浦を越して神波に指名が入った場面では、杉浦は表情をゆがませ、少しだけ口調を強めていた。感情的にならないところに賢さを感じつつ、それでも少しだけプライドが傷つくという複雑な胸の内を絶妙な塩梅で演じた。