“家族経営のラブホ”が経営難になりがちな理由。「元経営者の親を追い出す」泥沼のケースも
大事なのは差別化ではなく、需要と供給のバランス
家族関係だけではなく、立地条件や顧客数の把握、設備投資、サービスの展開など、さまざまな課題を解決しなければいけないのが、ラブホテル経営の難しいところ。平田さんはコンサルティングを行う際に、まずは物件周辺の商業的状況の調査と顧客層の分析からスタートしていく。 「基本的な調査の後には、物件の状況を把握した上で、分析した顧客層の要望に即しているかを判断して、対応策の方針修正や作業の過不足、正確性の確保を行います。ですが、なかには意匠や設備が時代に則していないこともあるので、意匠の改善工事や設備の入れ替え工事などを提案し、資金調達の方法なども指南することもありますね」 また、客商売である以上、重要となるスタッフの育成をはじめからやり直したりすることも有るそうだ。平田さんは「商いは人である」と考えており、ラブホテルに関わらず、「スタッフの丁寧かつ正確な接客や応対が事業を成功させる鍵だと話す。
「同業他店との差別化」を重視していない理由
なお、近年は女子会や推し活などのプランや、リゾートを模した内装など、それぞれのラブホテルがさまざまな施策を通して「差別化」を図っていることが多い。だが、平田さんはラブホテル経営において同業他店との差別化は重視していないそうだ。 「私のコンサルティングは、“お客様にとって素敵で便利なホテルづくり”を目指しております。そのために重要なのは同業他社との差別化ではなく、想定顧客層の嗜好に合致した設備や意匠、料金システムの構築です。ラブホテルに限らず、設備をご利用頂く事業においては、その設備の価値が売価と適合していなければいけません」 ラブホテルの料金は、新築開業時の新しい内装や設備を前提に設定されるのが一般的だが、経年劣化しているのに開業当時と同じ料金を設定したままにしまうと、割高と感じられてしまい、利用者が減ってしまう恐れがある。そのため、ラブホテル経営においては設備の新陳代謝を行い需要と供給のバランスを調整しておくことが肝要なのだそうだ。