12年前に長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像をめぐり、対馬市議会は韓国側に早期の返還を求める決議案を可決しました。 所有権が日本側にあるとした韓国最高裁の判決などを背景に、寺も返還に期待を寄せています。 2012年に対馬市の観音寺から盗まれた「観世音菩薩坐像」をめぐっては、韓国に持ち込まれた後、浮石寺が「倭寇に略奪された」と所有権を主張していました。 韓国の最高裁は2023年10月、観音寺の所有権を認める判決を出したものの、仏像は今も返還されていません。 対馬市議会　作元　義文議員 「本市議会は対馬市民の財産であり、市民の心のよりどころとする仏像の早期返還を韓国政府関係者に強く求めることを決議する」 対馬市議会は午前、韓国の駐日大使などに仏像の早期返還を求める決議案を可決しました。 韓国最高裁の判決から2025年で1年となることから、日韓両政府に返還に向けた調整を促す狙いです。 午後には観音寺の田中前住職が会見を開きました。 観音寺　前住職　田中節孝さん 「いろいろな役所の協力も必要だし、まだまだ長い道のりだろうと思う」 2024年夏には、浮石寺から「仏像を返還する意向」や「事前に100日間の法要を行いたい」という手紙が届いていますが、田中前住職は、条件が整えば仏像を貸すことも可能と話しています。 観音寺　前住職　田中節孝さん 「ちゃんと返ってくる話が先で、無事に観音寺に返ってくる契約を結ばないと。その上ではじめて浮石寺に貸し出しても安全が守られるなら、貸し出してもいい」 これについて韓国の浮石寺はFNNの取材に対し、仏像の所有権はあくまで日本側にあるとしています。