【解説】岸田政権…苦難の再スタート 3つの「裏側」とは
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自民党・安倍派の裏金疑惑をめぐり、岸田総理大臣は14日、安倍派の4人の閣僚を交代させました。岸田内閣は新たなスタートを切りましたが、3つの「裏側」に焦点をあて、日本テレビ政治部・平本典昭官邸キャップが解説します。
【裏側・その1】人事“難航”の裏側
最も注目された官房長官人事で実は、意中の人に断られていたそうなんです。その人とは、浜田前防衛大臣です。 複数の関係者によりますと総理の側近、木原幹事長代理が密かに2日前に浜田氏のもとを訪れ官房長官を打診。浜田さんは「自分には荷が重い」と断ったそうなんです。 ――なぜ、浜田さんが意中の人だったのか? 岸田総理側が人事でこだわったのは「無派閥」だったと言えます。 今回の人事のポイントはこれまで「派閥均衡型」と言われた岸田流人事がどこまで「派閥脱却型」にシフトできるか、が焦点でした。 特に官房長官は政権の顔で、「派閥色を払拭するためには官房長官を無派閥にすべき」という声は出ていました。さらに、官房長官には政策調整能力が必要です。 そのため、岸田総理は「脱派閥」の象徴として無派閥、そしてベテランで政策通、さらには同期でつきあいも長い浜田議員を起用したい、と思ったというわけです。 しかし、浜田さんに断られ、幻の「“無派閥”官房長官」人事となり、結果的に身内の岸田派・林さん起用となりました。 ピンチをチャンスに変える「攻めの人事」でなく、さらに傷を広げてはいけない、と結果的に「守りの人事」になった形です。
【裏側・その2】ぶっちゃけ発言の裏側
キックバックについて宮澤副大臣が13日、派閥から収支報告書に記載するなと指示があったと発言しました。周辺を取材すると、あの発言のタイミングの裏側には、宮澤さんがためていた「2つの怒り」が背景にあったようなんです。 1つは、岸田総理への怒りです。ある自民党議員は「安倍派だからという理由だけで、岸田総理が大臣、副大臣を更迭したということがあったのだろう」と。 もう1つは、安倍派への怒り。宮澤氏は周辺に「未記載はそもそも派閥の指示だったのに、なぜ自分が責任をとるのか」と安倍派への怒りをぶつけています。 ある自民党議員は、「安倍派の中に宮澤さんのように“ぶっちゃける”議員がこれから出てくるかもしれないね」と話しています。 自発的に裏金作りの組織性の一端を明らかにした点は評価される面もありますが、未記載自体は派閥の指示であろうがなかろうが宮澤氏の責任は重いと言えます。