自民党総裁選から見えた様々な景色
「報道部畑中デスクの独り言」(第386回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は「自民党総裁選」について。
9月27日、自民党総裁選挙、長い1日が終わりました。大逆転と番狂わせもあり、スリリングな展開となりました。決選投票に勝利を収めたのは石破茂元幹事長、初出馬から「5度目の正直」で勝ち取った総裁のイスです。 12日の告示後、党員票、議員票含めて石破氏に高市早苗経済安全保障担当相、小泉進次郎環境相の「三つどもえ」となる各メディアの情勢分析が示され、決選投票に進む2人が誰になるかが最大の焦点となっていました。 総裁選にはこのほか、小林鷹之前経済安全保障担当大臣、林芳正官房長官、上川陽子外務大臣、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル大臣、茂木敏充幹事長が立候補しています。午後2時6分、1回目の投票結果が逢沢一郎選挙管理委員長から発表され、どよめきが起こります。 議員票と党員票を合わせた数は高市氏181、小林氏60、林氏65、小泉氏136、上川氏40、加藤氏22、河野氏30、石破氏154、茂木氏47……どよめきが起きたのは高市氏の優勢が判明した瞬間でした。議員票72票はトップの小泉氏に3票差。党員票も109票で、石破氏の108票を上回りました。議員票でトップの75票を得た小泉氏は党員票が61票と伸び悩み、3位に沈みました。 1回目の投票で壇上に上がった3人の表情、石破氏は柔らかな表情だったのに対し、高市氏は硬い表情。投票を終えて議員席に戻る時は1人1人に細かく会釈していたのが印象的でした。一方、小泉氏は口を硬く結んでいました。党員票の伸び悩みが伝えられたこともあり、敗北を悟ったかのような表情に見えました。小泉氏は政治改革を訴え、世論調査では常に「次の政治にふさわしい人」の上位にありました。しかし、提唱した解雇規制の見直し、選択的夫婦別姓への言及が保守層の反発を招きました。討論の未熟さも票の伸び悩みにつながったとみられます。 決選投票では候補2人による5分間の演説という異例の対応がとられました。「ルールを、守る自民党でなくてはならない」と主張する石破氏。「選挙を勝ち続ける自民党をつくっていきたい」と訴える高市氏。政治改革に対する姿勢に温度差がありました。