ロシア進出の日本企業 「撤退」2割 ウクライナ侵攻から2年、脱ロシアは「膠着状態」へ
事業停止など「脱ロシア」は半数、情勢に変化みられず
ウクライナ侵攻直前(2022年2月時点)にロシアへの進出が判明していた国内上場企業168社のうち、2月21日までにロシア事業の停止や撤退を発表・公開した企業は合計で80社(47.6%)判明した。進出企業の約半数に上ったものの、23年8月以降の半年間で増減は無かった。 このうち、ロシア事業から事実上の撤退、または撤退計画を明らかにした企業は35社(20.8%)に上り、ロシアに進出する主要168社のうち2割に達した。「停止・撤退」の計80社では4割超を占め、多くの進出企業でロシア事業の撤退方針が明らかとなった。ただ、撤退企業は1年前の2023年2月時点・27社から8社増加したものの、侵攻直後の22年3月→23年2月間における25社増に比べると、増加幅は大きく縮小した。 一度はロシア事業の継続、一時停止措置などにとどめたものの、サプライチェーンの問題やレピュテーションリスクの観点から、実質的なロシアでのサービス凍結・終了や、現地子会社の売却などを進めたケースが目立った。また、ロシアのウクライナ侵攻から2年が経過するなか、難航した現地企業の売却や清算に一定のメドが立った、または完了した「完全撤退」のケースが、製造業を中心に広がっている。 一方で、一度はロシア事業の撤退や停止を検討したものの、現地への製品供給や現地生産を継続する企業も一部でみられ、ロシア事業を巡る対応は「撤退」「残留」の二極化が進んだ。
日本のロシア事業「撤退」割合、上昇が続くも先進7カ国で2番目の低さ
米エール経営大学院の集計をもとに、各国企業の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」割合を帝国データバンクが分析した。その結果、先進7カ国(G7)の主要企業1044社のうち、約3割の350社がロシア事業から撤退した、または撤退を表明していることが分かった。このうち、日本企業の同割合は2023年以降上昇が続いているものの、7カ国中2番目に低い水準だった。 ただ、G7における事業撤退割合の平均は33.5%にとどまり、欧米先進諸国のグローバル企業でもロシアからの離脱が進まなかった。ロシア事業撤退の動きは過去1年間でほぼ変化がみられず、総じて膠着した状態が続いている。