彼氏に、兄に勧められ…太宰作品と過ごした青春の日々
同行した夫は、太宰の作品を読んだことがないといい、あまりピンと来ていないようだった。しかし私は、「太宰の夏」を経験したので、次は「太宰の冬」を経験したいと、冬の青森旅行に誘うことを計画している。(46歳・パート=千葉県、2022年10月23日掲載)
愛読した本に亡き兄の思い出
出版各社の夏の文庫フェアで異色カバーが目立っているという記事(9日)を読んだ。集英社文庫は昨年、太宰治の「人間失格」の表紙を漫画家のイラストに変えたという。
私が若いころに読んだ「人間失格」のカバーはどんなものだったのだろう。本棚から見つけ出し、見てみると、カバーはなく、表紙にユリやアジサイなどの花模様が描かれていた。
その本に次兄の判子がついてあるのに気付き、驚いた。自分で買ったものと思い込んでいたが、文学青年だった兄に勧められて私も読んだのだと、わかった。
次兄は5年前、55歳の若さでこの世を去った。元気であれば、今月、還暦を迎えていたと思うと、胸がつまった。新聞の記事がきっかけで、亡き兄をしのぶ一日となった。(56歳・主婦=埼玉県、2008年7月17日掲載)
担当記者から
「人間失格」「斜陽」など太宰作品を読みましたが、一番好きなのは教科書に載っていた「走れメロス」です。メロスは間に合うのか、ハラハラしながらページをめくったのを覚えています。暴君を改心させた熱い友情に感動しました。暴君は今の世界にもいます。1人でも多くのメロスが必要だと感じています。(田渕)
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