「八犬伝」曽利監督、役所広司&内野聖陽が見せた俳優としての凄みに「ドキドキ」
山田風太郎氏の小説を映画化した「八犬伝」の公開記念舞台挨拶が10月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、役所広司、内野聖陽、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、栗山千明、曽利文彦監督が出席した。 本作は、里見家にかけられた呪いを解くため、運命に引き寄せられる若き8人の剣士たち(八犬士)の戦いをダイナミックに描く「八犬伝」=“虚”パートと、28年もの歳月をかけて物語を書き上げた作家・滝沢馬琴の実話を描く“実”パートがシンクロするエンタテインメント大作。この日の舞台挨拶の模様は、全国336館の劇場で生中継された。 25日から公開となり、司会からは初日、2日目とNo.1の成績を収めていると伝えられた。「No.1ですよね」と噛み締めるように語った役所は、「公開が始まってNo.1という映画に、僕はあまり出たことがないので。感動しています。三日天下にならないように、皆さんのお力をお借りしないと、さらなるヒットにはならないと思う」と呼びかけた。「八犬伝」の映画化は念願だったというのが、曽利監督だ。「身の引き締まる思い」と切り出し、「若いキャストがいっぱい出ているので、若い皆さまにも集まっていただけてうれしい限りです」と感無量の面持ちを見せていた。 劇中で役所と内野は、馬琴(役所)とその友人である北斎(内野)による丁々発止の掛け合いを披露している。内野は「北斎は、馬琴より年上の設定。役所さんは大先輩。ついつい敬語が出てしまいますし、腰が低くなりがちなところをなるべくそうならないように頑張った。役所さんがフランクに接してくださったので、自由に北斎像を造形できた」と感謝しきり。 「こちらこそ。内野さんのおかげ」と笑顔を見せた役所は、「内野さんがすばらしい俳優だということはわかっていますから」と相思相愛の思いを吐露しながら、「老人、2人で。なるべく醜い老人で、『“八犬士”たちの美しさを引き立てるように頑張ろうね』と話していた」と目尻を下げた。内野も「特殊メイクでおじいちゃんになる。朝から2時間くらい、ずっと隣でやっていました」とメイク時間も役所と会話を重ねながら、楽しんで過ごした様子だ。「理想通り。本当に望んだお二人」とキャスティングに大満足の曽利監督は、「撮影していても、こちらもドキドキと緊張する。長いお芝居、カメラを止めることなく撮っています。お二人のお芝居がいかにすごいか、じっくりとご覧いただきたい」と力を込めていた。 “八犬士”を演じた面々は、犬塚信乃役の渡邊が「お二人に引き立てていただいて。美しく」とユーモアたっぷりに話し、内野も「圭祐のため。すべては圭ちゃんのため!」と乗っかって会場も大笑い。また演じた役柄は女装や舞があるため「美しさが大事だった」という犬坂毛野役の板垣も、「お二人のおかげ」と役所と内野にお礼を述べると、内野は「めちゃくちゃ美しいですよ、皆さん。期待してください」と毛野の美しさを熱っぽくアピールした。そして「水上になって初めての作品が『八犬伝』。公開を迎えて、たくさんの方が足を運んでくださることが感慨深い」としみじみと語った水上は、「“八犬士”には、体に痣がある。僕も痣が2年越しに…。公開を迎えて出てきた。うれしい」とおでこに痣ができているとニヤリ。痣が浮かび上がるのは“八犬士”の証であることから、「アクションでやっちゃっただけなんですが、おめでたいと思っています」と偶然にも“八犬士スタイル”での登壇になったことを喜んでいた。