DeNAの勝因はブルペン陣…補強した“3人の即戦力”が下剋上の立役者に 本当の「即」は残り11球団に眠っている
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って CS特別編 ◇21日 「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」ファイナルステージ第6戦 巨人2―3DeNA(東京ドーム) ◆巨人・阿部監督、DeNA・三浦監督たたえる握手【写真】 甲子園から東京ドームまで、ベイスターズが勝ち上がる全8試合を見た。実は自慢の強力打線が火を噴いたのは阪神との第2戦(10得点)だけで、あとはロースコアを制してきた。8試合で13失点。ただし短期決戦ゆえに、5イニングを投げきった先発は4人しかいない。そう。勝因はブルペン陣だった。のべ32人のリリーバーが出動したが、中でも3人の存在が光っていた。 「うれしいのひと言。うれしすぎてやばいです。いろんな人の支えがあって、ここまで来ることができました。去年までの3年間はすごく悔しい思いをしてきたので、やってやったぞ!という気持ちです」 5回2死から6回まで投げきり、ホールドを挙げた中川颯がこう話したのは、昨オフにオリックスから戦力外通告を受けたからだ。仲間の3連覇をテレビで見ていた男が、新天地でのCSでは計3試合で3イニング1/3を投げ無失点。彼だけではない。現役ドラフトでロッテから加入した佐々木は2試合で1勝1ホールドで、巨人を戦力外になった堀岡も3試合(1ホールド)を無失点に抑えた。 シーズンでも中川颯は3勝、5ホールド、1セーブを挙げ、28試合に投げた佐々木は防御率1・95。堀岡も10月に3試合を無失点に抑えたことで、CSでの出番を勝ち取った。この3人がいなければ、下克上はなかったのではないか…。 彼らの奮闘を見て思う。2日後に迫ったドラフト会議で、飛び交う「即戦力」という前評判。安直に書くこちらにも責任はあるのだが、大学や社会人から入ったという理由だけで、本当に「即」なのか?プロ野球の1軍は、そんなに甘くはない。ドラフトで重視すべきは「即」かどうかより器の大小であってほしい。「即戦力」は、実は残り11球団に眠っている。彼らはプロの怖さも知っているし、悔しさも身に染みている。補強ポイントに合わせた掘り出し物は、きっといる。ベイスターズの弱点だったブルペンは、3人の「即戦力」で厚みを増したのだから。
中日スポーツ