『若草物語』逆境を糧に変えていく涼は紛れもなく“圧倒的なヒロイン” 一ノ瀬颯の存在感も
4姉妹の物語に寄り添うように、確実に存在感を増している律(一ノ瀬颯)
第4話を迎えた本作で4姉妹の物語に寄り添うように、確実に存在感を増しているのが律だ。彼は涼のために、かなえと密かに取引を交わしていた。「涼にギャラの前払いをする代わりに、恋を進める」という、なんとも彼にとって難しい約束を。 学生時代の借り物競走で「好きな人」として迷いなく涼の手を取った律。その真摯さは大人になった今でも彼の中に宿っており、友情と恋愛の間で揺れる繊細な心模様が演じる一ノ瀬颯の演技で確かに映し出されている。自分の想いを優しさゆえに押し殺そうとする時の表情に、どうしようもない切なさが垣間見えるからこそ、「無理に恋を進める必要もないのでは?」と思わされてしまう。涼の気持ちを尊重する律の優しさが、どうか一番良い形で報われてほしい。 一方、芽は沼田(深田竜生)に幼い弟がいることを知り、彼が噂とは全く異なる質素な生活をしていることを知る。苛立つ沼田の態度は、一層冷たさを増していき、挙句の果てには「嫌ならコンクール、1人で応募し直すから」と突き放すような言葉まで投げかけられる芽。 しかし、互いの複雑な家庭事情を知ったことで、2人はギクシャクした関係から一点、だんだんと心の距離を縮めていく。第4話のラストでは、お金を握り締めた沼田の“新たな秘密”が映し出されていたが、これも何かの勘違いであってほしいと思わずにはいられない。一方で、恵(仁村紗和)は会社での上司のセクハラ問題への対応を通じて、モラハラ彼氏との関係に疑問を抱き始めており、次回は恵と芽にも大きな動きがありそうな予感が漂う。 町田家の姉妹たちは、それぞれが抱える問題に真摯に向き合いながら、少しずつ前に進もうとしている。第4話が終わった時点で、依然として三女・衿(長濱ねる)の行方がわからないことだけが気がかりだが、涼の真っ直ぐな思いがきっといつか衿をあの家に呼び戻してくれるはずだ。
すなくじら