センバツ2024 広陵、快勝で好発進 交代選手も活躍し、加点 /広島
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は第4日の21日、広陵が1回戦で高知と対戦した。一回に先制し流れをつかんだ広陵は、終盤に追いすがる高知を退け、3―1で勝利。21年ぶりの優勝に向け好スタートを切ったナインに、見守ったスタンドからは大歓声が送られた。2回戦は大会第8日の第1試合(25日午前9時開始予定)で、青森山田と対戦する。【武市智菜実、小坂春乃】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 広陵は一回、先頭の浜本遥大(3年)が二塁打を放つと、2番・田村夏芽(3年)の送りバントが失策を誘い、幸先良く先制。三回には4番・只石貫太(3年)が適時二塁打を放ち1点を追加した。「体が大きくなり、たくましくなった」という父和也さん(51)は安堵(あんど)した。 2点目のホームを踏んだのは、冬に走塁練習を重ねてきた田村。この日は盗塁も決め、「塁に出たら走るという自分の役割を果たせた」と一安心。母いづみさん(44)は「メンタルも強くなり、本番で力を発揮してくれた」とほほえんだ。 その後は互いに無得点の状態が続いた。雪がちらつく中、ダンス部の渋沢柚良さんは寒さに震えながらも「選手の頑張りが伝わって来るので、一生懸命応援したい」と紅白のポンポンを突き上げ、追加点を待った。 九回には交代選手が活躍。代打の枡岡憲志(3年)が出塁し、盗塁を決めた代走の空輝星(2年)を白髪零士(2年)が還した。「打席のことはあまり覚えていないが、応援が聞こえ実感が湧いてきた」。母美恵さん(47)は勝負強さを見せた息子の活躍を「ドキドキしていたが、胸がいっぱいだ」と喜んだ。 エースの高尾響(3年)は失策がらみで1失点したが、11奪三振、117球の完投。中井哲之監督も「寒い中でも良い球を投げるし、打者を見て考えながら投げていた」と絶賛した。高尾は「90点の出来。次戦は初回から打者に良い流れを持っていけるように投げたい」と気を引き締めた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇3度目聖地、役割果たす 浜本遥大選手(3年) 「1打席目で勝敗が決まるぐらいの気持ちで入った」。一回表、先頭の打席。フルカウントから放った打球は右翼手の頭を越え、先制点への流れを作った。「責任感がある」という中井哲之監督の信頼に応えた。 過去2回の甲子園では、本領を発揮できず、悔しい思いをした。昨春のセンバツでは、「球場の雰囲気にのまれた」と4試合で1安打に終わった。2度目の昨夏は、タイブレークにもつれた3回戦で敗れ、「ワンプレーに左右される緊張感を味わった」。 新チームでは、1番打者としてチームを勢いづける役割を任された。前チームの1番打者だった先輩を見習い、「三振しない粘る打者」になるため、スイング軌道やミートポイントを修正しながら、ファウルで粘ることを心掛けてきた。 この日は盗塁を決める活躍も見せた。「チームのために何ができるか、自分の役割を果たすだけ」と落ち着いた口調で、次の試合を見据えた。