じつは「AIビジネスはまったく儲からない」…ChatGPTがGAFAMのような超巨大企業には成長できない「2つの理由」
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第5回 『“理想買い”で急騰するNVIDIA株に「AIバブル崩壊」の予兆…Apple、Microsoft超えの半導体メーカーに影』より続く
生成AIはマネタイズできていない
エミン・ユルマズ:トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。 エミン:生成AIについてはいろいろな懸念材料があります。ソニーミュージックはAI関連企業約700社に書簡を送り、同社のコンテンツをAIの学習に使ってはならないと通告しました。 生成AIは、ネット上のコンテンツや、書籍などを「学習」していると言われています。音楽や画像のデータも使われているようです。 それらのコンテンツは、いずれもクリエイターが苦労して生み出した作品であり、著作権が設定されています。それを勝手に使ってAIを作っておいて、利益はAI企業が独占する、というやり方は非常に問題です。いずれ法的に制限されるかもしれません。 実際、ニューヨークタイムズは、ChatGPTを開発したOpenAI社を著作権侵害で訴えています。こうした訴訟が続くと、生成AIの会社は、データにお金を払うことになる。そうしたコストが増えると、AIは期待されているほどには儲からないかもしれません。結果、著作権料を払える企業だけが生き残り、その他は淘汰されるでしょう。 もう一つ、マネタイズの問題も懸念しています。要するに、AIでお金を稼ぐ方法はまだ確立されていないのです。 現状、ChatGPTのサブスク使用料とか、Google検索などにAIを活用し、広告収入を得る、といったビジネスモデルですが、サブスク使用料はあまり高くできませんし、広告収入にも限度があります。まったく儲からないわけではありませんが、AI株の急上昇を裏付けるほど儲からない可能性があります。 要するに、iPhoneが急速に普及した時のような、巨大ビジネスに成長する雰囲気がないのです。
【関連記事】
- 【前回の記事を読む】“理想買い”で急騰するNVIDIA株に「AIバブル崩壊」の予兆…Apple、Microsoft超えの半導体メーカーに影
- 【はじめから読む】《バブル崩壊、中国だけでは止まらない》「空前の値上がり」で世界経済は破綻寸前…!各国のゼロ金利政策が招いた「エブリシング・バブル」の危機
- 日銀が「リーマン・ショックの最後の引き金を引いた」…日本経済を「完全に終わらせた」日銀が次に起こす「世界的バブル崩壊」
- アメリカで「リーマンショックの悪夢が再来」…!中国に見放され、追い詰められたアメリカ政府がとった「矛盾だらけの奇策」
- 「究極の個人情報を垂れ流している…」ノーベル賞科学者・山中伸弥が警告する誰も知らない「罠」