西武のドラフトが示す「V字回復は5年後」見えた高卒逸材を育てる意識と長期的強化プラン
ふたを開けてみれば「即戦力ドラフト」にはなりませんでした。 今季のパ・リーグで49勝91敗3分けの勝率.350と最下位に沈んだ西武です。かつての常勝軍団は歴史的な敗北を喫しましたが、来季は西口文也新監督のもと、心機一転、再浮上を目指します。 【画像】押さえておきたい「2024ドラフトの目玉」たちを厳選! 注目選手のプレー写真&寸評を一挙紹介 補強ポイントはもちろん、12球団最下位のチーム打率.212に沈んだ打線にあります。ドラフト前は当然、即戦力の打者を補強すると予想されていましたが、結果的には指名した支配下7人、育成4人の計11人のうち、高校生が過半数の6人を占め、将来性を重視したドラフトとなったのです。 スポーツ紙のアマチュア野球記者は言います。 「1位には競合覚悟で明治大のアマ球界ナンバーワン遊撃手・宗山塁を指名しましたが、5球団競合の末、クジを外します。すると外れ1位では地元・埼玉の逸材内野手、花咲徳栄の石塚裕惺を指名。2球団による抽選を経て、巨人に交渉権を持って行かれました。最終的に指名したのは金沢の斎藤大翔。『ポスト源田』にふさわしい、評判のショートストップですが、即戦力というタイプではない。『西武は来季をどう戦うかではない、5年後の黄金時代到来を踏まえたドラフトを展開しているんだな』と理解した瞬間でしたね」 3位では素材として前評判の高かった佐伯鶴城の最速150キロ右腕・狩生聖真を指名し、5位でも福井工大福井の最速149キロ右腕・篠原響を確保。6位では高校野球ファンの間で話題の新設校、沖縄のエナジックスポーツの強肩キャッチャー・龍山暖を指名し、あくまで数年後の未来を見据えたドラフトとなったのです。 「弱点となる打線強化に向けては、大商大の右の強打者・渡部聖弥を2位で指名。大学日本代表で3番を務めたスラッガーは、1位で消えてもおかしくないと思われていた。2位で取れたのは大きいでしょう。4位の日本経済大・林冠臣は195センチ、105キロの恵まれた肉体から打球を飛ばすパワーヒッター。この2人が開幕スタメンに名を連ねる可能性は十分あります。メディアが度肝を抜かれたのは7位の千曲川硬式野球クラブのスラッガー・古賀輝希。クラブチームにも目を光らせ、いいと思えば果敢に指名するところは『球界の寝業師』根本陸夫以来の伝統を感じました。育成の4人も将来性は十分です」(前述の記者) チームは来年即、V字回復とはいかないかもしれませんが、彼ら若獅子が順調に成長してくれれば、5年後は……と期待できる、即効性よりも確かな未来に向けたドラフト。強いレオの復活を、誰もが待っています。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]