広島「原爆の日」、入場規制された記念式典会場内外の光景 「弾圧許すな!」周辺騒然
対照的に会場内は……
これに関連して日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部は7月、「8・6ヒロシマで何が起きようとしているのか 平和公園での表現規制を考える」と題した集会を広島弁護士会館で開催(※)。参加者らは「核戦争の危機が現実化している中、今年こそ平和公園から『NO WAR』『NO NUKES』を訴えたいと思っている人は多い」「『安全対策』を口実にすれば、憲法が認めた『表現の自由』を奪っても構わない、と言わんばかりだ」などと訴えた。 そして迎えた今年の「8・6」。さまざまな市民グループや労組、学生が組織する「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」主催のデモや集会が前夜から公園の周辺で展開され「集会禁止を撤回しろ」「平和公園は市民のものだ」などのシュプレヒコールが市役所前や平和大通り周辺の夏空に響いた。 市内中区での決起集会後の5日夜10時ごろには原爆ドーム前で100人を超える人々が拡声器や横断幕を片手に集結。徹夜で座り込んだ人々に対して6日午前5時前には市職員らが「慰霊の日です。配慮をお願いします」と移動を促したが人々は応じず機動隊も出動。民間の警備員も外側を囲んだ。 「ただちにこの行為を中止し退去してください」「集会弾圧を許さないぞ。ヒロシマの声を妨害するな」――応酬は午前8時ごろまで続き、公園外に出てきたデモ参加者には「非常識」などと書かれたプラカードが突きつけられた。 式典会場周辺は規制強化もあり人があふれたが、会場後部の「被爆者・遺族席」は空席が目立った。平均年齢が85歳を超えた被爆者が当事者として発信できる機会は、今後ますます少なくなる。 今回の「座り込み集会」に対し広島市は市公園条例違反だとして過料5万円の支払いを命じた。これに対し同実行委員会は21日「市民との対話を拒否し、一方的な命令と逮捕の脅しで従わせようとし、従わないものには警察権力で排除しようとした市の姿勢は許されない」と抗議した。
白石憲二・ジャーナリスト