水難事故や災害時“いち早い救助”へ GPS付きライフジャケット…先行予約開始 震災で失った同僚思い開発
夏になると急増する水難事故。災害支援事業を行う「ガーディアン72」が宮城県南三陸町と連携し開発した「GPS付きライフジャケット」が完成し6月に発表会が行われ、今月20日から先行予約を開始しました。水難事故や災害時、津波で流された人の位置情報をすぐ取得し、救助に携わる関係機関にいち早く情報共有するというもの。開発の背景には、東日本大震災で失った同僚への思いがありました。(news zero 天目石史織)
■たくさんの仲間を失った“あの時に…”
このGPS付きのライフジャケットは、がれきなどから頭部を守れるようにフードが付いていたり、介護が必要な方にでも着やすいようにファスナーや形を変えたりと、使う人の場面に合わせて全3種類用意しています。実際に着て避難する際、GPSのスイッチを押している余裕がないことを想定し、災害発生時には、自動的にライフジャケットのGPSが作動するようなシステムになっています。また、低体温症に対応できる救命胴衣の開発も検討しているとのことです。 このプロジェクトを発案したのが、自身も東日本大震災で津波を経験した元・南三陸町職員の高橋一清さん(63)。約8年前にガーディアン72の社長であり、知人の有馬朱美さんに「たくさんの仲間を失ったあの時にライフジャケットがあれば…」と話したことでした。
■最後まで町民のために頑張っていた仲間たち
高橋さんは地震発生直後、同僚達と一緒に海岸から約500メートルのところにある災害対策本部業務に従事するつもりで防災対策庁舎に駆け上がりました。しかし、情報収集のため、一旦その場を離れ、高台にある中学校に移動するため高橋さんは防災庁舎を離れました。 約40分後、3階建ての防災対策庁舎には屋上を越える津波が押し寄せ、高橋さんの同僚を含めた54人の避難者のうち43人が津波の犠牲になりました。 高橋さんは、同僚が津波の押し寄せた屋上で一丸となって支えあっていたことを知り、そして大切な仲間がその津波の犠牲になり「私の仲間の最後の姿、最後まで町民のために頑張っていた彼らの努力や姿勢を無にしないためにも、命を守る新しい装置としてライフジャケットが必要だ」と、いてもたってもいられない思いだったと言います。