「パルワールド」特許侵害訴訟、任天堂は裁判での戦い方を熟知と識者
任天堂は豊富な知財を持ち、「常にまねされる側の立場にある」ことから「任天堂のブランドイメージを守るためには全力で争う」企業だと、嵐田氏は指摘する。
知財法に詳しいユニヴィス法律事務所の松下朋弘弁護士は、任天堂の用意周到さを指摘する。同社が同業のコロプラを特許侵害で訴えた際には提訴前に特許内容の一部を訂正しており、「知財部門の方でこの特許はもう少し攻撃性を高めることができるという検討」をしたのではないかと分析。また、開発陣など事業部門側の知財に対するリテラシーも高いはずだとして、「理想的な両輪」体制だと述べた。
過去の主な訴訟
白猫プロジェクト
コロプラのゲームアプリ「白猫プロジェクト」でタッチパネル上でジョイスティック操作を行う際に使用される特許技術などが侵害されたとして、2017年に配信差し止めと約44億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。21年にコロプラが任天堂に約33億円を支払い、任天堂は訴えを取り下げることで和解した。
マリカー
公道を走るカートに「マリカー」などと表示したり、マリオなどのコスチュームを貸与したりする行為が不正競争行為に当たるとして、17年に運営会社に対して著作権侵害行為などの差し止めと損害賠償を求めて東京地裁に提訴。第1審で不正競争行為の差し止めと損害賠償金の支払いなどを命じる判決が下され、控訴審で5000万円の損害賠償金の支払いと不正競争行為の差し止めなどが命じられた。上告審は不受理だったため、20年に控訴審判決が確定した。
マジコン
携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」で不正コピーソフトを起動できるマジコンといわれる装置を輸入販売していた業者らに対し、不正競争防止法に基づき、行為の差し止めと損害賠償を求めて09年に東京地裁に提訴。第1審で輸入販売行為の差し止めと約9560万円の損害賠償金の支払いを命じられ、控訴は棄却、上告は不受理だったため、16年に第1審判決が確定した。
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Yuki Furukawa